ミャンマー指揮官は「負けたけどハッピー」。日本に大敗も収穫あり。北朝鮮戦では「アプローチを変える」と宣言

2023年11月17日 石川聡

「多くを学ぶことができた」

ミャンマーは日本に0-5敗戦。悔しい結果も、ファイヒテンバイナー監督は手応えを語る。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 ワールドカップ・カタール大会の興奮と感動から1年足らず、11月16日には早くも2026年北中米大会のアジア地区2次予選がスタートした。

 日本はパナソニックスタジアム吹田で行なわれたその初戦で、上田綺世のハットトリックなどでミャンマーを5-0と一蹴した。

 FIFAランキングは日本の18位に対してミャンマーは158位。「このグループで最強の日本に勝てるとは思っていなかった」というミャンマーのドイツ人監督、ミヒャエル・ファイヒテンバイナー監督の予想は正直な見立てだろう。

 2021年5月のカタール大会のアジア2次予選では、0-10の大敗。「その二の舞を避けるために守備に徹した」(同監督)。2年前の対戦ではシュートを1本記録したが、今回はゼロに終わり、決定機は皆無だった。

 日本が別格の存在であるグループBでは、シリア、北朝鮮、ミャンマーが2位での最終予選進出を狙うのが現実的な目標だろう。そのためには得失点差も考慮し、失点を最小限に抑える必要がある。

 上田は「(ミャンマーは)負けていても時間を稼ぐようなスタイルで戦っていた」と相手の戦いぶりを振り返っている。

「我々を非常に研究していた」(森保一監督)ミャンマーは、5-4-1のフォーメーションを敷き、日本の強みである両サイドの攻撃を封じようとしてきた。時には左サイドMFのマウン・マウン・ルイン、右サイドMFのスアン・ラム・マンが下がって守備を補強し、7バックとさえ言える形も見せた。

 ファイヒテンバイナー監督は、さすがに「7人の(最終ラインは)プランはなかった。相手の動きに対応したまで」と説明している。

 同監督の頭にあった日本の攻撃のイメージは、三笘薫、伊東純也をはじめとする個の力を活かした両翼の脅威だったのか。だが、日本はミャンマーの思惑を逆手に取るように、中央の攻めから次々に得点を重ねた。
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 全5得点はほぼペナルティエリアの幅で縦パスから生まれた。日本の両サイドの攻撃を警戒するあまり、中央の守備に集中を欠き、マークがあいまいになったと考えることもできる。

 大敗スタートとなったミャンマーだが、ファイヒテンバイナー監督は「負けたけどハッピー。(相手の)ビッグチャンスを防ぐこともできた。そもそもレベルが違うが、多くを学ぶことができた」と収穫を口にしている。

「我々はフットボールをプレーできる」と自信ものぞかせる指揮官は、ホームで北朝鮮を迎え撃つ21日の第2戦で「アプローチを変える」と宣言した。

「ミャンマーのサッカーは今日、目にしたものではない。もっとミャンマーらしいサッカーをしていきたい」と、より攻撃的な姿勢で戦うことを誓った。

取材・文●石川聡

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