「サッリよ、カマダのクオリティを見たか」出番激減でも躍動した鎌田大地。冷遇するラツィオ指揮官に目にして欲しかったミドル弾以外のワンプレー

2023年11月17日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

セリエAでは8試合連続のベンチスタート

見事なミドルを叩き込んだ鎌田。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 クラブで出番がないなら代表で。そんな意地の一発だった。

 日本代表は11月16日、北中米ワールドカップ・アジア2次予選の初戦でミャンマー代表と対戦。5-0で圧勝した。

 この一戦で、やや驚きの先発出場を果たしたのが、右のインサイドハーフに入った鎌田大地だ。所属するラツィオで、セリエAでは8試合連続のベンチスタートという状況だったからだ。

 コンディションが懸念されるなか、中盤を完全にコントロール。11分に運ぶドリブルで上田綺世が決めた先制点の起点となると、27分には左足で圧巻のミドルを叩き込む。腰の違和感で前半のみのプレーとなったものの、改めて存在感を見せつけた。

 所属するラツィオでは、開幕直後こそ4試合でスタメン出場を果たし、王者ナポリからゴールも挙げたものの、チームが結果を出せないなか、マウリツィオ・サッリ監督は左インサイドハーフのルイス・アルベルトと鎌田が似たタイプのため、「バランス」を重視して同時起用を断念。「カマダは好きだが、使うのが難しい」とぼやきながら、フィジカルの強いマテオ・ゲンドゥジを右インサイドハーフで起用している。

 そして、本人が「一番難しいタスク」と語るように、チームの王様であるL・アルベルトとのポジション争いを余儀なくされているのだ。

【動画】鎌田大地の強烈なミドル弾!
 緻密な戦術家で知られるサッリは、少し頑固なところがあり、一度決めるとなかなかメンバーをいじろうとしない。L・アルベルトをなかなかローテーションで外さないため、日本代表MFの出番は激減してしまった。

 フィジカルやパワーはたしかにゲンドゥジに及ばないかもしれないが、鎌田は守備力が低いわけではない。ミャンマー戦の29分、即時奪回をしたプレーを見てもそれは明らかだ。サッリ監督には、ぜひこのシーンを見てほしい。

 相手によっては、L・アルベルトと鎌田の同時起用は可能だろうし、時にはスペイン人MFを休ませるのも必要だ。実際、「欧州一美しいサッカー」と絶賛されたナポリの監督時代も、メンバーを固定しすぎて、お決まりのようにシーズン終盤に失速。ユベントスの牙城を崩せなかった。

 もちろん、ミャンマーの実力はセリエAやチャンピオンズリーグのレベルとは程遠い。それでも、あえて言いたい。

「サッリよ、カマダのクオリティを見たか」と。

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

【PHOTO】日本代表のミャンマー戦出場16選手&監督の採点・寸評。2人に7点台の高評価。MOMはハットトリックのFW

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