現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「日に日に難しくなる香川のスタメン予想。トゥヘル監督のメッセージに応えなければ…」

2016年02月25日 マルクス・バーク

カストロがメンバーから外れた理由が、怪我ではないのは明らか。

ポルトとの第1レグは2ゴールに絡んだ香川。25日に行なわれるリターンマッチも先発出場なるか。(C)Getty Images

 先日、ドイツ誌『シュポルトビルト』で香川真司のインタビューが掲載された。私が前回のコラムで"勧めた"ように、彼はメディアを使って自分をアピールする道を選んだわけだ。そのインタビューでは、「これからイングリッシュ・ウィーク(ミッドウィークに試合がある週)が待っている。そこでコンスタントにプレーし続けたい」と語っていた。
 
 不思議だったのは、香川のインタビューがドイツであまり注目されなかったことだ。国内の主要メディアが伝えなかったし、ドルトムントの地元紙でさえ触れなかった。
 
 たしかに、コメントの内容は至って普通だ。ただ、香川のインタビュー自体はかなり久しぶりで、少なくともドルトムントを常に追っている者にとっては言及する価値があったと思う。
 
 そろそろ本題に入ろう。香川がトーマス・トゥヘル監督と直接話をしたのが、今シーズン初めて招集メンバーから漏れた2月6日のヘルタ・ベルリン戦(全選手の寸評・採点)の翌日。では、そこから状況は変わったのだろうか。
 
 18日のポルト戦(現地レポート)では先発出場して2ゴールに絡んだとはいえ、パフォーマンス自体はその5日前に行なわれたハノーファー戦(全選手の寸評・採点)よりもやや良かった程度。21日のレバークーゼン戦(試合レポート)は出場機会がなかった。
 
 香川のスタメンを予想するのは、日に日に難しくなっている。トゥヘル監督の起用法はまったく読めないからだ。たとえば、直近の2試合(ポルト戦とレバークーゼン戦)は、ゴンサロ・カストロをベンチ外にした。
 
 レバークーゼン戦の翌日もカストロがトレーニングに参加していたことを考えれば、メンバー外の理由が怪我ではないのは明らか。トゥヘル監督の選手たちへのメッセージは、おそらくこんなところだろう。「いいパフォーマンスを見せろ。トレーニングを全力でこなせ。それができなければ、容赦なくメンバーから外す」と。
 
 カストロが外れたそのレバークーゼン戦を、ドルトムントは辛くも勝利した(1-0)。正直、私は勝てると思っていなかった。メンバーをかなり落としていたからだ。
 
 注目すべきは、ディフェンスの安定感だ。公式戦ここ6試合で1ゴールしか奪われていない。その主因のひとつが、CBマッツ・フンメルスの復調だろう。また、右SBウカシュ・ピシュチェクの存在も見逃せない。彼がレギュラーに返り咲いてから、バランスが良くなった。
 
 25日に敵地で行なわれるポルトとのリターンマッチは、1点決めれば勝ち抜けには十分だろう。ホームで奪った2点のアドバンテージがあるし、守備が崩壊するとは想像しづらい。この予想は、香川がキックオフの時にピッチに立っているかどうかを言い当てるよりも、容易である。
 
文:マルクス・バーク
翻訳:円賀貴子
 
【著者プロフィール】
Marcus BARK(マルクス・バーク)/地元のドルトムントに太いパイプを持つフリージャーナリストで、ドイツ第一公共放送・ウェブ版のドイツ代表番としても活躍中。国外のリーグも幅広くカバーし、複数のメジャー媒体に寄稿する。1962年7月8日生まれ。
 
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