「タケだって人間だ。度が過ぎた」久保建英の酷使にソシエダ番記者が警鐘。敵ファンの誹謗中傷には怒り「何の対策もなく、いつまで放置しておくのか」【現地発】

2023年10月13日 ミケル・レカルデ

ここまで徹底的にマークされれば突破するのは困難

ソシエダではもはや不可欠な存在となっている久保。(C)Getty Images

 タケ・クボ(久保建英)は疲労困憊だった。ここ数週間、足に巻いていたテーピングやサポーターがその状態を物語っていた。‟超"がつくほどの過密スケジュール、バックアッパーのモハメド=アリ・ショの低調なパフォーマンス、ミケル・オジャルサバルをCFで起用せざるを得ないチーム事情が、負担を強いた

 過去のレポート記事で触れてきたように、タケは追い込まれれば追い込まれるほど力を発揮する。粘り強さと打たれ強さは他の選手にないもので、ゴールやアシストが決まるまで何度でもトライし続ける。とはいえ、タケだって人間だ。いくらなんでも度が過ぎた。

 バスク・ダービーで90分間フル出場した後、中2日で臨んだチャンピオンズリーグのザルツブルク戦では相手CBから犯罪級のタックルを受けた。翌日の早朝、ズビエタ(練習場)に到着したとき、チームドクターは「悪化した場合は、必ず連絡するように」と念を押した。

 アトレティコ戦でのタケのパフォーマンスを振り返る前に、2点指摘しておきたい。1点目はレフェリングについて。本来なら人目につかず、正義の裁きを下すことだけに専念すべき人物が偏った判定を行うと、ファンは涙を流し、苛立ち、無力感に苛まれる。2点目は、タケが試合中に敵ファンから受けた誹謗中傷について。一体責任者は、いつまで何の対策も講じることなく、このような状況を放置しておくのだろうか。

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 その意味では、タケは様々な敵と戦っていたわけだが、こと試合において最も苦しめられたのがディエゴ・シメオネだ。アトレティコの指揮官は、タケを封じる術を知っている。その用意周到な準備はそれだけ警戒していることの裏返しでもあるが、この日も、蜘蛛の巣を張るようにウイングバックに張り付かせ、インサイドハーフにサポートさせ、仮に脱出しても、CBにアプローチさせた。ここまで徹底的にマークされれば、いくらタケでも、突破するのは困難だ。

 しかも前述した通り、コンディションは万全ではない。そんな中でも、ハンマーのように強い意志を持ってプレーし続けたのはさすがだったが、見せ場と言えるのは、チームが圧倒的に劣勢を強いられていた前半のロスタイムに、右サイドからピンポイントクロスを入れて、オジャルサバルのヘディングシュートが枠を捉えることができなかったシーンくらいだった。
 

次ページ目立ったインパクトを残せないまま65分に交代

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