「フリーターの自分は、先輩たちに比べればマシなほう」新潟FW長倉幹樹が見た社会人リーグの過酷な環境【インタビュー中編】

2023年10月14日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「とにかく強い大学に行って成長したくて」

長倉は大学卒業時にプロからのオファーを得られず、関東1部リーグの東京ユナイテッドFCに加入した。(C)TOKYO UNITED FC

 Jクラブからオファーが届かず悔しさを味わった大学卒業時から、わずか1年半。社会人リーグの東京ユナイテッドFCからJ2の群馬を経て、J1の新潟まで驚くべきスピードで這い上がった長倉幹樹。目の前の勝利にこだわり、結果を残し続けてきたアタッカーが、激動の2シーズンを含む自身のキャリアと躍進の理由を語る。

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 浦和レッズユースで実りある3年間を過ごしたが、クラブからトップチーム昇格の話はなく、早々に大学行きを決めていた。進学先に選んだのは順天堂大だ。

「順天堂大は、自分が進路を決める2017年に関東大学リーグ(2位)やアミノバイタルカップ(優勝)で結果を残していました。とにかく強い大学に行って成長したくて、進学を決断しました」

 長倉の狙い通り、大学4年間は高いレベルに身を置いたことで、選手としてまたひと皮むけた。ひとつ上の学年に杉山直宏(ガンバ大阪)、ふたつ上に旗手怜央(セルティック)、3つ上に名古新太郎(鹿島アントラーズ)ら、プロ行きを果たす多くの実力者としのぎを削った経験は、現在も糧となっている。
 
 先輩が次々とプロの舞台に旅立ち、4年次となった2021年。千葉県代表として出場した天皇杯で、偶然にも1年後に加入するJ2のザスパクサツ群馬と対戦する。この試合でのプレーがのちの獲得に影響したわけではないというが、長倉にとっては印象的な試合だったようだ。

「前半終了間際に先制し、試合終盤に追加点を挙げて2-0になって追い込んだ。正直『勝てるぞ』と思いましたが、90分までに追いつかれて、延長戦で逆転を許し、敗退しました。やはりプロは違うなと思い知らされた一戦でしたね」

 実力の差を突きつけられると同時に、プロへの憧れが増したゲームを経て、より一層サッカーに打ち込みつつ、Jクラブからのオファーを待った。しかし現実は厳しく、プロ入りの話は舞い込まなかった。

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