「勝つためにこいつが必要だという存在に」ルヴァン杯準決勝で際立った、マリノス主将・喜田拓也の存在感「役割を整理して入れた」

2023年10月12日 金子 徹(サッカーダイジェスト編集部)

「このチームに必要なものは分かっている」

67分からピッチに立ち、キャプテンとしての責務を果たした喜田。写真:滝川敏之

 10月11日に行なわれたルヴァンカップ準決勝・第1戦。ホームの日産スタジアムで浦和レッズと対戦した横浜F・マリノスは、61分のアンデルソン・ロペスのゴールを守り切り、1-0で勝利を手にした。

 上島拓巳と角田涼太朗の両CBが高い集中力で最終ラインを統率し、渡辺皓太と山根陸の両ボランチが攻守にインテンシティの高いプレーを見せるなど、ピッチに立った選手の戦う姿勢には胸を打つものがあった。

 そうしたなかで、個人的に特に印象に残ったのは、67分からピッチに立ったキャプテン喜田拓也の存在感だ。
【厳選ショット】アンデルソン・ロペスのPK弾でルヴァンカップ準決勝第1戦に1-0勝利!|ルヴァン杯準決勝第1戦 横浜 1-0 浦和
 浦和のハイプレスに苦しんだ前半は、失点こそしなかったものの、自陣でのビルドアップのミスが目立ち、浦和のFWホセ・カンテに何度かゴールを脅かされた。

 後半もどこかフワッとした雰囲気が漂っていたように思うが、喜田が投入直後に味方を鼓舞すると、その空気が一変。ピリッとした締まりのある空気感に変わったように感じた。

 試合後、筆者が感じたものを喜田に伝えると、「さっきもチームの人に同じようなことを言われました」と笑いながら、こう答えてくれた。

「試合を見ながらもそうですけど、このチームに必要なものは分かっているつもりでいるし、周りの選手にどうアプローチして良さを出させるかだったり、勝つために何が必要なのかは、その都度違うと思いますけど、それをしっかり察知して表現することはやっていかないといけない。

(チームに)居て助かる存在、勝つためにこいつが必要だという存在にならないといけないと思っています。今日で言えばしっかりゲームを締めること、攻守ともに穴を開けないこと、円滑にすることは非常に大事で、ポジショニングや周りとの関係性を意識していたので、役割を整理して入れました」

 小学生からトリコロール一筋で、プロ11年目。そして2019年からキャプテンを務めて5年目を迎えているからこその言葉だろう。誰よりもチームのために、という姿勢を貫く姿に、チームメイトが刺激を受けないはずがない。

 喜田は、15日に埼玉スタジアム2002で戦う第2戦に向けて、「シンプルにみんなと勝ちたいし、その先には決勝の舞台があるので、強い想いを持ちつつ、頭は冷静にならないといけないので、そのバランスは自分が中心となってやっていきたい」と意気込んだ。
 
 リーグ戦はこれまで25試合に出場するも、9月はコンディションを落とし、27節のサガン鳥栖戦からは2試合連続でベンチスタート。そして頂上対決となった29節のヴィッセル神戸戦ではベンチ外だった背番号8だが、浦和戦は改めてその存在がチームにとって大きいと感じた試合だった。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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