ほろ苦いベルギーデビュー。STVV鈴木彩艶は浦和時代と変わらず、自分を徹底検証して本領を発揮。「さらに上のレベルに行けるかなという手応えも」

2023年09月28日 元川悦子

労働ビザは1日で取得

強い決意で海を渡った鈴木。着実にステップアップするために、STVVに移籍した。写真:元川悦子

「自分の夢はイングランド・プレミアリーグでプレーすること。マンチェスター・ユナイテッドからオファーがあったのは事実ですけど、今季のユナイテッドは(アンドレ・)オナナ選手を獲得しましたし、自分が出られるレベルにあるかを考えた時、なかなか難しいと判断しました。今、行けなくても、必ず数年後には行きたいと思っている。着実にステップアップするために、今回はベルギー移籍を決断しました」

 8月6日の浦和レッズ対横浜F・マリノス戦の後、鈴木彩艶は埼玉スタジアムでシント=トロイデン(以下、STVV)移籍決定を受け、メディアの前で取材に応じた。2021年にトップ昇格を果たした浦和レッズでは、西川周作という偉大なGKの壁に阻まれ、コンスタントな出場機会を得ることはできなかったが、新天地では必ず正守護神として活躍する――そんな強い意欲を胸に秘め、彼は欧州の地に旅立ったのである。

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 それから3週間後の8月27日、サークル・ブルージュ戦。鈴木はSTVVのGKとして、初めてスタメンに抜擢された。本拠地・大王わさびスタイエンスタジアムのピッチは人工芝。浦和の育成時代を思い出しながら、彼はゴールマウスに立ったのだろう。

「労働ビザ取得に2週間くらいかかると聞いていましたが、幸いにして僕は1日で取れたので、すぐにトレーニングに合流できました。それは良かったんですが、アカデミー時代以来の人工芝ということで、そこに適応するのが最初でした。

 もう1つ重要だったのが言語の部分。移籍に備えて結構前から準備をしていましたが、ゲームの中で単語を使いながら意思疎通を図っていきました。コーチングの部分は日本より伝わりにくいところが確かにありましたね。

『絞れ』とか『寄せろ』とか言っても、思った通りにはやってもらえない傾向があった。むしろ『ディフェンス陣はやってくれない』と割り切って、対応策を講じていくように意識して、試合への調整を進めていきました」と、鈴木は自分なりに工夫しながら適応を進めていったという。

【PHOTO】2023年夏に欧州で新天地を求めたサムライたち

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