【消えた逸材】ドキュメンタリー番組の密着ですべて公に。「身勝手な問題児」というレッテルを貼られた元イングランド代表MFのいま

2023年10月19日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

破格の移籍金でマンチェスター・Cへ

出世街道を一気に駆け抜けたエバートン時代のロドウェル。(C)Getty images

ジャック・ロドウェル(MF/元イングランド代表)
■生年月日/1991年3月11日
■身長・体重/188センチ・77キロ
 
 7歳で加入したエバートンの下部組織では飛び級の連続で、常に年齢より上のカテゴリーでプレーした。14歳でU-18チームに入り、15歳でリザーブチームに引き上げられた。出世街道を一気に駆け抜け、トップチームにデビューするのは16歳のときだ。2007年12月20日のUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)のAZ戦がその記念すべき試合で、16歳284日での出場はエバートンのクラブレコードだった。ヨーロッパカップ戦の最年少出場記録を塗り替えた。 
 
 08年3月9日のサンダーランド戦でプレミアリーグにデビューすると、10年2月20日のマンチェスター・ユナイテッド戦でプレミアリーグ初ゴールをマークする。ドリブルから右に持ち出し、グラウンダーの強シュートをファーサイドに突き刺した、鮮やかなゴールだった。
 
 U-16から年代別のイングランド代表に漏れなく選ばれ、11年11月、20歳でA代表デビューを果たす。スペインとの親善試合で56分から交代出場して初キャップを刻んだ。
 
 柔軟にボールを捌いて相手をいなし、正確なパスを味方に繋げば、大股のドリブルで持ち上がり、左右両足からラストパスを送り、シュートを放つ。CBとセントラルMFを遜色なくこなし、その両ポジションで将来を嘱望された。当時エバートンを率いたデイビッド・モイーズ監督は、あのリオ・ファーディナンドの姿を重ね合わせていた。いずれにしても、2000年代後半のイングランドでもっとも有望なヤングタレントのひとりだった。
 
 アブダビ資本になって勃興するマンチェスター・シティに移籍したのは12年の夏。シティは直前のシーズンに44年ぶりのリーグ優勝を果たし、そのチャンピオンチームに迎えられたのだ。ボーナス込み1500万ポンドの移籍金は、21歳の若手としては当時破格とも言える額だった。
 
 ジャック・ロドウェルのキャリアは、確かに順風満帆だった。そう、ここまでは。ここから、しかし暗礁に乗り上げていくことになる。
 

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