「これ、なんだ?」ビビッて、逃げるようなプレー。曺監督の喝に気づかされ、決意新たに精進【パリの灯は見えたか|vol.4 川﨑颯太】

2023年09月20日 松尾祐希

現実は甘くなかった

22歳ながら京都で主将を務める川﨑。写真:松尾祐希

 今年6月の出来事だ。海外組の選手たちがずらりと顔を揃えるなか、A代表のメンバーにその名前があった。

 国内組が中心だった昨年7月のE-1選手権を除くと、パリ五輪世代ではすでに主軸として活躍している久保建英(レアル・ソシエダ)、3月に初めてA代表に招集されたバングーナガンデ佳史扶(FC東京)と半田陸(G大阪)に続く抜擢だ。

 昨年3月に立ち上がったパリ五輪を目ざすU-22日本代表において、当初は序列が高いとは言えなかったが、この1年でメキメキと力をつけて、所属する京都では今季から22歳の若さでキャプテンを任されるまでに成長を遂げた。

 パリ五輪世代で期待のタレントをディープに掘り下げるインタビュー連載。第4回目は川﨑颯太に話を聞いた。どのような歩みでキャリアを築き、この1年間で何が変わったのだろうか。

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 ボランチやインサイドハーフの一角で、強度の高いプレーでチームを牽引し、攻守に違いをもたらす。今や京都に欠かせない存在になっている。高校入学のタイミングで京都にやってきた男は自信に溢れ、表情もグッと凛々しくなった。

 1年半前に行なわれたU-22日本代表の海外遠征では、苦虫を噛み潰したような表情で、どこか様子をうかがいながらプレーしていたが、振る舞いもキャプテンらしくなり、言動も変わった。

「キャプテンがビビってボールを受けられないチームは勝てない」

 頼もしい言葉を言えるようになったのも、地道な積み重ねがあったからこそ。特に昨季から今季にかけての成長は著しい。この1年の間に何が起こったのだろうか。

 今から1年半前、川﨑はアラブ首長国連邦にいた。2022年3月上旬に立ち上がったU-22日本代表の活動に参加し、初の海外遠征となるドバイカップに参戦。パリ五輪を目ざすチームで己の力をアピールし、大岩剛監督のもとでアピールする……はずだった。しかし、現実はそう甘くなかった。

「何もせずに終わっちゃった大会。(一世代下で当時プロ1年目だった)松木玖生(FC東京)とダブルボランチを組みましたが、自分より彼がチームを動かしている感じがありましたし、攻守にわたって効いていた。

 一方で自分は海外慣れしてないし、暑さにもまったく対応できなくて...。ボールも少なからず種類が違うので、そういう些細な変化もストレスに感じていた。全然上手くいかなかったですね」

【PHOTO】サンガスタジアムに駆けつけた京都サンガF.C.サポーター

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