【戦術アナリストが大予測】「ペップ・シティ」はこうなる! 理想の新戦力はピケ、アラバ、ギュンドアンだ!

2016年02月02日 マッシモ・ルッケージ

グアルディオラのチームは試合中に様々なシステムを使って布陣する。

2月1日、来シーズンからのマンチェスター・シティ監督就任が発表されたグアルディオラ。新天地でいかなるチームを作るのか、大きな注目が集まる。(C)Getty Images

 ジョゼップ・グアルディオラのサッカー哲学とそれに基づく戦術コンセプトは、他のあらゆる監督とも異なっている。バルセロナ、そしてバイエルンでそうしたように、マンチェスター・シティ(以下シティ)においても既存戦力の特徴を活かしながら、自らの信じる戦術コンセプトを導入するはずだ。
 
 グアルディオラは4-3-3、4-3-1-2、3-4-3、4-2-3-1といった特定のシステムに捉われる指揮官ではない。彼のチームは1試合のなかで状況に応じながら、これらすべてのシステムを使って布陣する。
 
 そんな芸当がどうすれば可能なのか? グアルディオラはチームを一つの単体として捉えず、いくつかのセクションに分割し、ピッチも複数のゾーンに分割して戦術を構築している。
 
 例えば3人のアタッカーを前線に配置すれば、相手はそれに対して数的優位を確保するため4バックを敷くだろう。ピッチに横線を1本引いて敵のGKと4バック、味方の3トップをひとつのゾーンに区切ると、その後方のゾーンは敵がMFとFWの6人、味方がMFとDF、そしてGKの8人によって占められる。
 
 8対6の数的優位にあるチームは、バランスのいい距離感で布陣し、正確なショートパスと短距離のラン・ウィズ・ザ・ボールを組み合わせてプレーすることによって、6人の敵をかわしながらボールを前方に運び、それに合わせてチーム全体を押し上げて行く。その時の陣形は、敵の6人がどのように布陣するかに応じて柔軟に変わってくる。
 
 例えば相手が4-2-3-1の場合、3トップは敵の4バックと対峙し、左右のサイドバックは敵のウイング、アンカーは敵のトップ下、インサイドハーフは敵の2ボランチにそれぞれマッチアップする形になる。
 
 この場合、味方の2CBとGKの3人は敵の1トップに対して3対1の数的優位を作る形になる。彼ら3人でパスを回せば、敵FWのプレスを外してCBの1人がドリブルで中盤にボールを持ち上がるのは容易だ。そこに対して敵の誰かがプレッシャーをかけてくれば、それまでその敵とマッチアップしていた味方はフリーになる。そこにパスを通してまた同じ形を作ることで、フリーの味方にパスを通してボールを前へ前へと運んでいけるわけだ。
 
 敵陣にボールを運んだ後も、プレーのコンセプトは基本的に変わらない。サイドバックが大きく攻め上がるか、あるいはウイングがワイドに開くか、そのいずれかによって、つねに攻撃には幅が確保されており、敵陣でのパス交換により相手の布陣を一方のサイドに寄せたところで、逆サイドに大きく開いて1対1の突破を仕掛ける、あるいは敵最終ラインのギャップを突いてスルーパスを裏に送り込むといった展開によって、最後の25メートルを攻略してフィニッシュに繋げていく流れになる。
 
 こうしたグアルディオラの戦術コンセプトを実現するためには、高いテクニックとダイナミズムを兼ね備え、ロングスプリントよりもアジリティーに長けた小回りの効くタイプ、狭いスペースでのパス交換や短い距離の素早い持ち上がり、迅速なポジションチェンジなどに対応できる選手が、とくに中盤から前のポジションに必要となる。

次ページそのサッカーの「副作用」をいかに補うのか?

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