鋭くギラついた目。水戸内定MF長尾優人は強烈な決意と向上心で前を向く。成長を促した美藤倫の存在

2023年09月05日 安藤隆人

相手のタイミングを外し、テンポを生み出すパス

意表を突いたプレーが持ち味の長尾。来年は水戸でプロキャリアをスタートさせる。写真:安藤隆人

 関西学院大のMF長尾優斗は、ギラついた目が印象的なセントラルミッドフィルダーだ。

 鋭い視線は常に前を向いていて、スペース、相手の動き、そして味方の動き出しなどを見逃さない。なかでも力を抜いた状態で、オープンにボールを止めてから繰り出されるアウトサイドパスは相手の意表を突き、動き出した味方の足もとにピタリと届く。

 個人的に彼が1試合に数回見せるこのパスが好きで、どのタイミングでどこに出してくるのかを楽しみにしている。

 総理大臣杯2回戦の早稲田大戦でも、長尾は常に鋭い視線で前を見ながら、相手のプレスのタイミングを外したパスや、テンポを生み出すパスを駆使して、タレント揃いの関西学院大の攻撃の中枢を担っていた。

「意図的に緩急をつけることで、相手のタイミングをずらしています。たとえばサイドを変えたい時は、相手がサイドを変えてくると思わせないような動きをしていますし、捌くと見せかけて前に仕掛けたり、リターンやラストパスを受けるためにゴール前に入っていくプレーを入れたりすることで、相手に的を絞らせないことを意識しています」
 
 2-0の勝利を収め、準々決勝進出を決めた試合後、長尾はこう自らの意図を口にした。ここからプレー談義が始まると、「ボールを受ける前と受けた後はどこを見ているのか」と言う問いに対し、理路整然とこう答えた。

「ボールを受ける前は相手の守備の動きを見ていて、相手の守備がどこに動くか、プラス、味方がそれによってどう動くかを意識しています。オフェンス陣が常にアクションをしてくれるので、それに対して相手の守備がどう動くのか、誰が自分を狙っているのかを考えて、ボールを受ける時はどこにでも出せるようになるべく身体の向きをオープンにして持つことを意識しています。

 もちろん、ボールを晒すことになるので、かっさらわれるリスクがあるからこそ、晒して取られない場所に置くことを意識しています。僕のボールを置く位置で相手の立ち位置も変わると思っているので、置いたところでもう一度、守備の動きや味方の動きを意識して、次のプレーを選択します」

【PHOTO】「死んでもついていく」という決意で応援する水戸ホーリーホックサポーター

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