【リーガ現地コラム】老いて益々盛んなビルバオのベテランCFこそスペイン代表に相応しい

2016年01月29日 豊福晋

30歳を迎えて凄みを増した珍しいタイプのFW。

ほぼ2試合に1得点というハイペースでゴールを量産するアドゥリス。35歳が間近に迫ったいまなお、ハイパフォーマンスを披露している。(C)Getty Images

 EURO2016の開幕まで5か月を切り、スペイン国内では「登録メンバーの23人に誰を選ぶべきか」といった議論が盛んになってきた。

 とくに活発に意見が交わされているのは、最前線についてだ。そしていま、このポジションでひとりのベテランが注目を浴びている。

 3月で35歳を迎えるアスレティック・ビルバオのアリツ・アドゥリスだ。

 リーガ・エスパニョーラ21節のエイバル戦では2得点をマーク。そのうちのひとつは左足の華麗なハーフボレーで、同節のベストゴールのひとつに選ばれた。

 持ち味は高さとキープ力、エイバル戦でも証明したペナルティーエリア内でのシュート技術の高さだ。なにより特筆すべきは、跳躍時の滞空時間の長さだろう。上背は1メートル82センチと、FWとしては決して大きくない。しかし彼のジャンプを見ていると、フワリと宙に浮いて、そのまま空中で静止しているかのような錯覚に陥ってしまう。実際、多くのゴールを頭で決めている。

 たしかにモビリティーや足技は平均レベルだろう。だが、ヘディングの技術が物語るように、ゴールを奪う能力に疑いの余地はない。計算できる選手と言ってもいいだろう。今シーズンはすでにリーガで13ゴールを決めている。

 興味深いのは30代に入ってから凄みを増した、珍しいタイプのFWだという点。30歳で迎えた11-12シーズン以降の公式戦で挙げた総得点は96。ほぼ2試合に1得点というハイペースだ。サポートに恵まれているとは言い難い中堅クラブでのこの量産ぶりは、賞賛に値する。このままいけば今シーズン中に100ゴールの大台を超えるのは間違いない。

 一般的に前線の選手は30代に突入すると衰えが隠せなくなってくる。しかしアドゥリスの場合は、むしろ凄みを増した印象が強い。30歳になるまでの13シーズンで決めたゴールの数は、ここ5シーズンより少し多い119。そうしたデータからも、ベテランになってからの勢いの凄まじさがわかるはずだ。

次ページスペイン代表CFの3つの枠の有力候補のひとり。

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