歴史の扉を開いた「女子サッカーの日」。WEとなでしこリーグ初の共催。新潟Lの川澄奈穂美は「また見に行こうと思ってくださる試合を」

2023年09月04日 西森彰

5割増となる787人が足を運ぶ

新たな試みとなった「女子サッカーの日」。なでしこリーグのS世田谷対愛媛L、WEリーグ杯のベレーザ対新潟Lが1つの会場で開催された。(C)WE LEAGUE

 9月3日、味の素フィールド西が丘は「女子サッカーの日」と題して、初めてWEリーグとなでしこリーグが共催された。

 まず、15時からは、なでしこリーグ1部の第17節、スフィーダ世田谷FC対愛媛FCレディースのゲームが行なわれた。今季はここまで苦戦が続いていたディフェンディングチャンピオンのS世田谷だが、開始7分、長﨑茜のゴールで先制すると、その後も金子ゆい、大竹麻友が加点し、3-0で愛媛Lを下した。勝点を25まで伸ばしたS世田谷は、5位に浮上した。

 観客動員は、日本の女子サッカー界全体に共通した課題のひとつだ。地元に根差した活動を続け、駒沢陸上競技場の開催では3000人を超える観客を集めることもあるS世田谷だが、その他の会場でのホームゲームでは平均500人を超える規模になる。

 この日は、2試合共通チケットのため、いつもよりも高い金額設定となったが、その他会場のホームゲームでは最多で、だいたい5割増となる787人が足を運んだ。

「今日は、歴史の扉を開く一日。私たちも、女子サッカー界全体としてやっていくべきだと思っていたので、協力してくれたベレーザのみなさん、西が丘サッカー場のみなさんには感謝です」(神川明彦監督/S世田谷)
 
 チケットの発売方法や観戦エリアの条件の告知が、試合開催の当該週まで決まらなかったことなど、初めての試みゆえのトラブルもあったが、これらも回を重ねることで消化されていくだろう。神川監督からも「お客様にはご迷惑をおかけしたところもあったと思います」と、ファン、サポーターを気遣うコメントがあった。

 加えて「成功かどうかは別として、こういう試みはどんどんやっていかなければいけません」と力を込めた。「日本はあらゆるスポーツに人気があるので、(新たな)ファン層を獲得していかなければいけない。なでしこジャパンの活躍には、私も胸躍らされたので、その灯を消してほしくない」。

 日本の女子サッカーを支えるベースでもある、なでしこリーグの指揮官としての矜持が垣間見えた。

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