C大阪戦での0-3の完敗に誰よりも悔しさを表わした脇坂泰斗。“川崎を勝たせられる存在に”示すより強い覚悟

2023年09月03日 本田健介(サッカーダイジェスト)

決定機逸も悔やむ

連戦でも先発を果たした脇坂。前半の決定機を決め切れなかったシーンを悔やんだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第26節]C大阪 3-0 川崎/9月2日/ヨドコウ桜スタジアム

 C大阪のサポーターが盛り上がるなかで迎えた試合終了のホイッスル。スコアボードには0-3のスコアが書き込まれている。その瞬間、ユニホームで顔を覆い、誰よりも悔しさを表わしたのが、川崎の14番、MF脇坂泰斗だった。

 3日前の天皇杯準々決勝の新潟戦はチーム一丸となってPK戦までもつれた一戦を制していた。しかしアウェー連戦という厳しい日程もあって大阪の地では完敗。リーグ戦は直近6試合で2分4敗となった。

 勝利への可能性を見い出そうと、チームは奮闘した。疲労も考慮し、選手を入れ替えたなかで、鬼木達監督は従来の4-3-3ではなく、3-5-2へのシステム変更を選択。

 序盤こそミスが重なったが、守備時は5バックになるなど徐々に安定し、ウイングバックを生かしながら攻撃も展開した。

 しかし52分に、人数をかけた中盤のプレスを突破されると、警戒していたはずのジョルディ・クルークスのクロスから失点。その後は4-3-3に戻し、反撃を試みるも、VAR判定を含めて2本のPKを与えてしまい、0-3で敗れた。
 
 昨季、クラブ伝統の14番を継承し、今季は副キャプテンとして腕章を巻く試合も増えた脇坂は、常々「チームを勝たせられる存在にならなくちゃいけない」と言い続けてきた。

 自らに重い責任を課してきたからこそ、C大阪戦直後の姿には、チームの軸としての悲壮感が漂っていた。

 それは言葉にも強く表われていた。

「不運なところもありましたが、1点では自分たちにもチャンスはくると思いますが、2点、3点と失点してしまうと難しくなってしまう。こういったゲームを今シーズンは何回もしているので、もっとよくしていかなければ、勝てる試合も勝てないし、勝つチャンスも起きないと思う。次のリーグ戦まで少し時間がありますし、チームとして先制点を取りに行く作業が圧倒的に足りないと思うので、もう一度やっていく必要があるのかなと」

 自身は前半に左からのクロスで迎えた決定機を外していた。

「あのシーンは自分が決めてないので(形を作れたとしても)プラスでもなんでもない。あそこで決められるようにしないと...。あれで先制点を取っていれば...。もっと自分の力を上げないといけません」

 ここからAマッチウィークに入り、ルヴァンカップも敗退している川崎は約2週間のインターバルを過ごす。次は9月15日のFC東京戦で、その4日後には、アウェーでのACL初戦、敵地マレーシアでのジョホール・ダルル・タクジム戦が控える。

「僕自身ももっとレベルアップして、高いところでサッカーをできるように、リーグで突き抜けなければいけないと思います。今日のようなゲームで勝たせないと、自分の価値も高まらないですし、もっと味方を引っ張っていく作業をプレーでもそうですし、それ以外でもやっていきたい」

 脇坂の決意が結実するゲームが改めて訪れることを願いたい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】川崎の出場16選手&監督の採点・寸評。唯一の光明は2トップで活きた山田か。山村は2本のPKを献上

【厳選ショット】セレッソが川崎に3得点零封の快勝で3連勝!|J1第26節 C大阪3-0川崎

「プレミアの『次のビッグ』はまさに彼」ブライトン残留の三笘薫に海外見解「ビッグ6やマドリー、バルサからオファーが届くかも」

トップ昇格内定、川崎U-18MF由井航太は一味違う。"奪った後のプレー"に磨きをかけ、歴史に名を刻めるか。目標は「何でもできる選手」
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事