【イラク戦/エリア別検証】1失点も守備陣の手堅さは変わらず。攻撃面は成長の跡が窺えたが…

2016年01月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

【ディフェンシブサード】植田&奈良のCBコンビは粘り強い対応を披露。櫛引はこの日もファインセーブを見せる。

空中戦で強さを見せた植田(5番)は、奈良とCBコンビを形成。身体を張ってイラクの攻撃を撥ね返した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 イラクの先発メンバー、そして交代カードの切り方には少なからず驚きがあった。まず"イラクのメッシ"と評され、要注意人物としていた11番のフマムがベンチスタートとなったのだ(85分から途中出場)。また、準々決勝では途中出場から2ゴールに絡み、日本側が危険視していた長身FWのA・フセインは結局最後までピッチに現われなかった。

 それでも右サイドに入った10番のヒスニ、「強さがあってボールを収められた」(遠藤)という1トップの8番・アブドゥルラヒームを中心にしたイラクの攻撃に日本は手を焼いた。

 この日のCBは「ラインコントロールでの牽制の仕方が、(奈良)竜樹が一番メリハリがある。今は3人で高め合っている」(手倉森監督)と、岩波ではなく植田と奈良のコンビが先発。「責任がありましたし、いろんな人の想いを持ってピッチに立って、勝利という結果を得られたのが良かったです」と奈良が語ったように、ふたりは気持ちのこもった粘り強い対応を見せた。

 後半はやや足が止まり、81分にはクロスをボランチの4番・ムスタファにフリーで合わせられるなどピンチが増えたが、CKからの失点以外、ゴールを許さなかった点は評価して良いだろう。

 一方、両SBは通常通り、オーバーラップを控え、主に守備に力を注いだ。特に室屋は65分に左サイドを崩された際には、素早く中に絞ってクロスをクリア。この試合でも大きな働きをした。
 
 また、つけ加えたいのがGKの櫛引の好調さだ。イラク戦でも後半に相手の強烈なミドルをセーブするなど、ファインプレーを披露。手倉森監督も評価する守護神の活躍はチームを勢いに乗せたと言える。

 ただCKからの失点シーンは鈴木のニアでのクリアがゴール方向に飛んでしまうミスが起きるなど、対応を再確認する必要がある。櫛引が二度のセーブを見せたものの、守備陣が相手に寄せきれなかった点も反省材料だ。

次ページ【ミドルサード】やはり遠藤の存在感は絶大だった。

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