【藤田俊哉の目】イラク戦MVPはGKの櫛引! 早急にA代表に呼び手薄なエリアの活性化を!!

2016年01月27日 サッカーダイジェスト編集部

イラク戦はディフェンスと運動量をベースに機動力で押し切った。

藤田氏は、再三好セーブを見せた櫛引をイラク戦のMVPに選出。守備の粘りがロスタイムの決勝点を引き出した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 U-23日本代表がイラクを2-1で下して、早々とリオ五輪出場を決めたね。試合前からイラクに勝ってくれると信じていたけれど、展開としては延長戦突入が濃厚だっただけに劇的な結末となった。グループリーグからの戦いを振り返っても、無傷の5連勝でリオ行きを決めたのだから、まさに理想的な勝ち上がりだったと言えるだろう。
 
 ただ、ずっと僕が言い続けているように、本来、日本というチームは、アジアのなかでは王者らしい戦いぶりで違いを見せつけて突破しなければいけない。近年、アンダー20以下のカテゴリーは世界大会へのチケットを逃し続けていたし、この世代もずっと悔しい思いをしてきたから、あんまり欲を言ってはいけないのだろうけれど、アジアの中での日本の位置はやっぱりそうであってほしいものだ。だからこそ、今回のU-23日本代表の快進撃は本当に喜ばしいものとなった。
 
 イラクとの準決勝は、ディフェンスと運動量をベースに機動力で押し切ったというのが、僕の印象だ。1-1で迎えた後半はイラクに攻め込まれた時間帯が長かったけれど、最後までゴールを割らせなかった。19番のアトワンがミドルシュートを放ったシーンが最も危ないシーンだった。GK櫛引政敏のビッグセーブによって事なきを得たけれど、このシュートが決まっていたら、もしかしたら違った結果になっていたかもしれない。そういった視点で考えれば、個人的には、この日のMVPには櫛引を選びたい。
 
 それにしても、守護神の櫛引を中心にした日本の組織的な守備は本当に素晴らしかった。イラク戦を含めて5試合で2失点。しかも完全に組織を崩されての失点は「ゼロ」だった。チーム立ち上げから手倉森誠監督は「失点をしないチーム作り」を目指してきたとのこと。まさにイメージ通りのチームに仕上げて、イメージ通りの勝ち上がりでチケットを手に入れたことになる。
 
 準々決勝のイラン戦をはじめ、途中出場の選手によるゴールも多かったし、コンディションを重視したローテーション制での選手起用も奏功していた。選手全員が良いプレーを見せていたと思うから、手倉森監督のチームマネジメント能力による勝利だったとも言えるだろうね。
 

次ページ停滞著しいA代表のGK陣。櫛引はすぐにでも引き上げるべき。

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