「史上最も才能を無駄にした選手」「カネのために都落ちした」アル・ヒラル移籍のネイマールにブラジル国内では厳しい声。その中でエールを送ったレジェンドが!【現地発】

2023年08月26日 沢田啓明

2年間の報酬総額はボーナス含め推定で約506億円

8月19日のホームゲームで、初めてファンにお披露目。ただ、怪我を抱えるネイマールは出場できず、アル・ヒラルでのデビューはお預けに。(C)Getty Images

 パリ・サンジェルマンの主力だったブラジル代表FWネイマールのアル・ヒラル(サウジアラビア)移籍は、母国でも大きな物議を醸している。
 
 2年契約で移籍金は推定1億ユーロ(約158億円)、契約期間中の報酬総額は各種ボーナスを含めて推定3億2000万ユーロ(約506億円)。さらに、25以上の部屋がある豪邸、8台の高級車、プライベートジェット、5人の使用人などの「王様待遇」を求めたと伝えられる。
 
 ネイマール自身はこの移籍について「欧州で多くのタイトルを獲得した後、別の場所で新たな挑戦を始めたいと思った」と説明する。
 
 ただし、ブラジルのメディアと国民の反応は厳しい。
 
 評論家のジュッカ・キフーリは、「ある時点から、彼の関心はピッチ内よりもピッチ外へ向かうようになった。世界のフットボールの歴史で、才能を最も無駄にした選手」と辛辣だ。
 
 国民からは、「カネのために都落ちした」、「セレソンの背番号10のキャリアはこれで終わり」といった失望と怒りが入り混じった声が聞かれる。
 
 一方、一定の理解を示すのは一部の元選手たちだ。
 
 ネイマールと親交があるジーコは、「彼なりの考えがあったのだろう。まだ31歳で、これからもセレソンのために頑張ってほしい。彼ならできる」とエールを送る。
 
 現在はテレビで評論家を務める元ブラジル代表MFジーニョは、「最近、彼に関する話題の多くは(女性問題など)ピッチ外のもの。フットボールに集中してほしい」と叱咤激励する。
 
 8月19日に行なわれたホームゲームの試合前、アル・アハリはネイマールをファンにお披露目した。ただ当のネイマールは故障を抱えていて、この試合には出場せず。いつデビューするかも発表されていない。
 
 9月8日と12日に予定されている2026年ワールドカップ南米予選の第1節と第2節にネイマールは招集されたが、アル・ヒラルの監督は「プレーできないのに招集する意味がわからない」とCBF(ブラジル・サッカー連盟)を批判する。
 
 砂嵐が吹きすさぶ中、中東の地で、ネイマールの新たなキャリアが始まる。
 
文●沢田啓明
 
【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。

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