【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「風向きが完全に好転する。しかし、ミハイロビッチ監督との関係修復は……」

2016年01月20日 マルコ・パソット

今シーズンの本田には“中庸の道”というものがない。

6節から11試合連続でベンチスタートを強いられ、一時は冬の移籍も取沙汰された本田。しかし、ここにきてレギュラーに返り咲き、パフォーマンスもとりわけ守備面で安定している。(C)Getty Images

 本田圭佑の置かれた状況の違いを理解するには、今シーズンの試合をすべて並べてみればいい。すると、大きく3つの時期に分かれていることに気が付くはずだ。
 
 まず第一期は5節(9月22日)まで、スタメンで試合に出ても良い結果を残せなかった時期だ。次の第二期は6節から11試合連続でベンチスタート、そのうち4試合は出場機会がなかった。そして現在の第三期だ。コッパ・イタリアを含めて5試合連続でスタメンとしてプレーし、うち4試合はフル出場している。
 
 この第二期と三期は、180度に近いほど大きく異なっている。つまり、今シーズンの本田には"中庸の道"というものがなく、また理屈では説明できない出来事が多いのだ。
 
 3か月ほとんどプレーできなかった期間、私はこのコラムで何度も本田の今後を考察した。例の問題発言はどう尾を引くのか、1月のメルカートで何が起こるのか、シニシャ・ミハイロビッチ監督はなぜ彼をベンチに座らせ続けるのか……。
 
 第二期の本田は、まるで誰からも完全に忘れ去られたかのようだった。イタリアのほとんどのメディアは、「ミランが本田を放出リストに載せた」、「1月の移籍はほぼ確実」、「行き先はスペインかイングランド」などと書き立てた。
 
 しかし、このコラムを読み続けてきてくれた方々はご存知かと思うが、私は個人的にその反対の主張を続けてきた。監督からの信頼が薄く、時にかなりハードなことを言われても、本田は少なくとも今シーズン一杯はミランに残ると信じていた。
 
 その考えの裏付けとなっていたのが、何度かあったアドリアーノ・ガッリアーニ副会長との会談だ。本田はその場で一度として放出を直訴しておらず(それこそがミランから出ていく唯一の方法だったが)、問題発言を詫びたり、自分の置かれた立場を冷静に訴えたりしただけだった。その事実を多くの記者は知らなかったのか、それとも見て見ぬふりをしていたのか、あまり話題になることはなかった。

次ページフィオレンティーナ戦ではDFさながらの守備を見せる。

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