「作り甲斐があります」なでしこJの胃袋を支える西&中原シェフ。カレーを取りやめ、鍋料理提供。心配りに選手たちからも歓喜の声

2023年08月07日 渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

「サプライズや工夫を凝らしたものが喜ばれる」

西シェフ(左)は、JFAのエンブレム入りのクックコートを中原シェフ(右)に託した。(C)SOCCER DIGEST

 オーストラリア&ニュージーランド共催の女子ワールドカップを戦うなでしこジャパン。

 ザンビア(5-0)、コスタリカ(2-0)、スペイン(4-0)と同居したグループCを無傷の3連勝で通過すると、ラウンド16では今大会初失点を喫するものの、ノルウェーを3-1で撃破し、準々決勝進出を決めた。

 ここまでの活躍は選手たちの実力だろうが、それを支えるバックアップ体制もかつてないほど盤石だ。そのひとつが食事面にある。

 日本代表の専属シェフとして知られている西芳照シェフのほか、今回はFC今治でトップチームの食事サポートをしている中原剛シェフも帯同。

 西シェフがゲームの前々日に試合が行なわれる都市で食材を調達し、準備を整えている間、中原シェフがベースキャンプに残って食事を提供。ふたり体制でベースキャンプ地から各試合会場まで移動して戦うチームを支えている。

 昨年のカタール・W杯まで5大会連続で日本代表の帯同シェフを務めた西氏だが、男子専属シェフは勇退を発表。一方で、女子W杯へのオファーは快諾。なでしこジャパン帯同は、一昨年にインドで開催されたアジアカップ以来、2度目となる。

「今まで女子には僕たちのようなシェフが付くこともなくて。聞いた話ですが、自分たちで炊飯器を持ち込んで部屋でお米を炊いて、おにぎりを握って試合に臨んだとか。

 そういう過去があって、インドに初めて行かせて頂いて、選手のみなさんの喜ぶ笑顔であったり、食べっぷりだったり、そういうものを見ると、この人たちのために、少しでも手助けになればと、やらせてもらいました」
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 選手たちからの反響は、やはり大きいようだ。

「鍋が出た時はみんな感激して、各テーブルで歓声が上がりました」(林穂之香)、「(スウェーデンでプレーする)普段より日本食をバクバク食べています」(浜野まいか)、「疲労から食欲が出ないこともありますが、今回は毎回、お腹いっぱい食べています」(田中美南)、「本当に美味しいご飯ばかり」(高橋はな)

 寒冷地のダニーデンでは、試合前日にキムチ鍋を提供。「男子とは違って、サプライズや工夫を凝らしたものが喜ばれるようです」(西シェフ)。

 そのほかにも、監督の好物という餃子や、パスタ麺で作った焼きそばなど、栄養面とともに、食事の際の楽しみも提供している。
 

次ページ男子では試合後のカレーが定番メニューだったが…

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