“突き放すサッカー”で一人二役をこなすMF岡田生都。日大藤沢の躍進を支えるダイナミックかつ緻密なセンス【総体】

2023年08月01日 安藤隆人

後半途中から1トップに

ダメ押し点を決めた岡田。守備の貢献度も高かった。写真:安藤隆人

[インターハイ3回戦]日大藤沢 3-1 米子北/7月31日/東光スポーツ公園球技場A

 一昨年度は準優勝、昨年度はベスト4の米子北を相手に、2-1の1点リードで迎えた後半16分、日大藤沢のMF岡田生都はボールを受けて前を向くと、MF安場壮志朗との素早いワンツーから抜け出して、ニアサイドに強烈なシュートを突き刺した。

「これまでリードしていても、失点すると下を向いてしまってやられていた。それをみんなでなくそうとハーフタイムに言っていたので、失点した時にみんなで集まって『ネガティブな声は入らない。リードしているし、自分たちのサッカーはできているから立て直して追加点を奪おう』と、すぐに意思統一ができた。

 守りきるのではなく、突き放すサッカーを自分のゴールで実現できたことが、僕としても、チームとしても大きいと思います」

 流れが相手に行きかけていたタイミングでの追加点。このゴールがチームを落ち着かせると、その1分後に岡田は今大会からチャレンジしている新たなポジションでさらなる躍動を見せた。

 本来のポジションは左サイドハーフ、ウイング。キープ力があり、フィジカルも強く、サイドでボールを収めて起点を作り、かつ3点目のゴールのようにカットインやワンツーなどからアタッキングエリアに入り込んで決定的なシュートを放つこともできる。
 
 筆者は岡田をサイドのスペシャリストと思っていたが、初戦の奈良育英戦で1トップの山上大智がベンチに下がると、岡田が1トップに入った。この試合でも後半17分に山上がベンチに下がると、岡田は1トップの位置へ。

 ここから何度もスプリントをして前線からの守備を行なったり、幅広く動いてボールを受けてタメを作ったりと、1トップとして献身的なプレーを披露。前線からの守備の強度と前への推進力をチームにもたらし、3-1の快勝に2つのポジションで貢献した。

「僕は自分を左サイドのスペシャリストだとは思っていませんでした。同じ県内だと桐光学園の齋藤俊輔のように、1人でスピードを駆使して突破できるようなタイプではなく、中に入って行って周りと関わりながら持ち味を発揮していくタイプなので、スペシャリストだと思うと、自分のいろんな戦術に馴染める力を狭めてしまうのではないかと思ったんです。

 なので、佐藤(輝勝)監督から『今大会はフォワードとしても考えている』と言われても、違和感なくプレーすることができています」

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