なぜ本拠地サン・マメスに宿敵ソシエダのロゴが? 出会った少年が久保建英を「嫌い」な理由は...【ビルバオを巡る旅|前編】

2023年08月01日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「隣の13番に相手チームの会長が座るんです」

ビルバオの本拠地サン・マメス(奥)には博物館も併設されている。(C)Getty Images

 久保建英の所属するレアル・ソシエダの試合を観にサン・セバスティアンを訪れるなら、同じスペイン北部のバスク地方にあるビルバオにも足を運んでみてはいかがだろうか。

 バルセロナ、レアル・マドリーの2大クラブと並び、ラ・リーガで2部に降格したことがないことで知られるアスレティック・ビルバオのホームタウンは、造船業や鉄鋼業が衰退してから観光の街に生まれ変わった。

 町並みは綺麗で、食事も美味しく、観光スポットも豊富。訪れるのは2回目になるが、「オススメの街」だ。

 ビルバオのホームスタジアムであるサン・マメスは、街の中心部から、地下鉄や路面電車で10分ほどで移動できる。スタジアムツアー(大人14ユーロ、ガイド付き20ユーロ)では選手が使用するロッカールームや記者会見室、VIP席が見学できた。

 VIP席から下を見下ろすと、アウェー側のベンチのところに「RESPECT」の文字とライバルクラブであるレアル・ソシエダのロゴが。いったいなぜ?

 これはアウェーチームに敬意を表わすためのもので、ロゴは対戦相手によって張り替えるのだという。たまたま見学したのがソシエダとのバスクダービーの後だったため、宿敵のロゴがあったというわけだ。

 そんな話を訊いた後に、「VIP席では、ビルバオの会長は必ず14番の席に座り、隣の13番に相手チームの会長が座るんです。13番は不吉な番号ですからね(笑)」との説明が。「RESPECT」とのギャップに思わず笑ってしまった。

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 ビルバオとソシエダのダービーでは、それぞれ赤白と青白のユニホームを来たファンが、隣に並んで一緒に観戦しているシーンをよく見かける。

「健全なライバル関係です。例えば、レアル・マドリー対バルセロナのエル・クラシコのように憎悪をむき出しにするということはありません」

 そんな女性スタッフの言葉が印象的だった。

 サン・マメスのスタジオツアーでは併設されている博物館にも入館できる。ラ・リーガ7回、コパ・デル・レイ23回の優勝を誇る名門だけに、とりわけトロフィールームには圧倒された。

 これまで在籍した全選手の顔写真が飾られたコーナーでは、ガンバ大阪でもプレーしたマルケル・スサエタを発見。日本では思ったような活躍ができなかったが、インタビューをした時の生真面目そうな姿が思い出された。
 

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