37歳、水野晃樹は走り続ける。「現役最後の場所」J3いわてで闘志を燃やす日々「嫌われ役をやっていきたいですね」

2023年07月19日 元川悦子

J1からJ3までの7クラブを渡り歩く

水野晃樹(みずの・こうき)85年9月6日生、静岡県出身。千葉やセルティック、柏などで活躍してきた元日本代表アタッカー。今季からJ3いわてに新天地を求め、3年ぶりのJ復帰を果たした。(C)IWATE GRULLA MORIOKA

 2023年のJ3も間もなく折り返し地点を迎える。18節終了時点でトップを走っているのは、勝点35の愛媛FCで、同33のカターレ富山が2位につけている。

 元アトランタ五輪代表で、昨季まで解説者を務めていた松原良香監督が今季から指揮を執る、いわてグルージャ盛岡は、勝点24の11位。ここまでは順風満帆とは言い切れないところがあったが、「まだ上位との差は10ポイントくらい。ここから十分に巻き返せる」と、37歳のベテランMF水野晃樹も語気を強めている。

 水野はご存じの通り、オシムチルドレンの1人として知られたテクニシャンだ。清水商業校(現・清水桜ケ丘)2004年にジェフユナイテッド市原(現・千葉)入り。イビチャ・オシム監督の薫陶を受けた。

「オシムさんと出会わなければ今の自分はない」と本人も語るように、「考えながら走るサッカー」を掲げていた名将のもと、大きな飛躍を遂げ、2007年3月のペルー戦でA代表デビューを果たすまでになった。
 
 その後、2008年1月にセルティックへ移籍。度重なる怪我で成功を掴めず、2010年6月にJリーグ復帰を決断し、柏レイソルへ。そこからヴァンフォーレ甲府、千葉、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、ロアッソ熊本、SC相模原と、J1からJ3までの7クラブを渡り歩くことになった。

「柏に戻ってから最初の公式戦だった古巣のジェフ戦で、右膝前十字じん帯損傷の大怪我をしてしまってから、自分の特長であるスピードやキレがなかなか戻ってこないまま、時間が過ぎていきました。自分の中でも『どうしたら輝きを取り戻せるか』をすごい悩んで、試行錯誤していた感じでした。

 甲府あたりまでは試合にもある程度、出ていましたけど、それ以降は試合にも絡めなくなり、年齢を重ねていくにつれて若い選手の勢いに飲まれてしまったのはありました」と、水野は約10年間の不完全燃焼を吐露する。

 そしてコロナ禍まっ只中だった2020年末、相模原から契約満了を通告される。新天地を探すべく、自ら動いてJFLなどの下部リーグも含め20チームほどコンタクトしたが、色よい返事はもらえない。本人も初めて「引退」の二文字を本格的に考えたという。

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