指揮官の檄で目を覚ました青森山田が前橋育英に2-1逆転勝利! 選手&監督が代わっても揺るがない強さ

2023年07月11日 松尾祐希

黒田前監督が植え付けてきた“ゴールを隠す守備”

2-1と逆転で前橋育英を下した青森山田。リーグ前半戦を最高の形で終えた。写真:松尾祐希

 選手が代わっても、監督が代わっても、伝統は変わらない。青森山田の伝統は脈々と後進に受け継がれている。

 7月9日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグEASTの第11節。青森山田は橋育英とアウェーで対戦し、前半の早い時間帯に先制を許しながらも、後半の2ゴールで2−1の逆転勝利を収めた。

 試合を振り返れば、前半は苦戦を強いられた。気温はキックオフ時点で30度近くに迫り、グラウンドレベルではそれ以上の熱量を感じるほど。普段は青森で活動しているチームからすれば、夏の暑さにはまだまだ慣れていない。

 そうした状況下で迎えたリーグ前半戦最後の一戦は、序盤から出足が鈍り、中盤でセカンドボールを拾えない時間帯が続いた。攻撃に出る機会もあったが、簡単にゴール前へ侵入を許し、シュートを打たせる場面が散見。昨年度限りで退任した黒田剛前監督(現・町田監督)が植え付けてきた"ゴールを隠す守備"を体現できず、青森山田らしさを見せられない。

 むしろ、身体を張っていたのは青森山田よりも前橋育英。不甲斐ない試合運びを見せ、前半17分にCKの流れから失点してしまう。CB山田佳(2年)にクロスを入れられ、ゴール前でフリーになっていた左SB立木堯斗(2年)にネットを揺らされた。
 
 以降もリズムを掴めず、1点ビハインドでハーフタイムを迎える。

 厳しい表情でベンチに戻った選手たちを待っていたのは、正木昌宣監督からの叱責だった。

「相手がゴール前で3人連続してスライディングで止めた場面があったけど、なんでお前らはやらないんだよ。なんであっさりゴールを決められているの?」

 指揮官の言葉に選手たちはハッとした。

「本当に常日頃から言われているゴールを隠すことは練習からやってきた。それをやらなかったら、青森山田の守備ではない」(キャプテン・CB山本虎/3年)

「青森山田の守備のベースはゴールを隠すこと。それは体現しないといけない。前半、前橋育英が身体を張っていたけど、自分たちこそやらないといけない。絶対に死ぬ気で守るつもりになった」(CB小泉佳絃/3年)

 思い返せば、昨シーズンもそうだった。昨年5月にプレミアリーグで前橋育英とアウェーで対戦した際、常にリードを許して3−2で敗れた。あの時の苦い記憶は今でも残っている。

「去年5月のプレミアリーグでの対戦と同様に暑さで動けず、いつものサッカーができなかった。本当にこのまま負けて終わったら、2位の川崎フロンターレに勝点差を詰められてしまう。前期は勝点4差で終わりたい。そのなかで後半は青森山田の意地を見せたいと思った。負けている状況でも失点はしない。練習からゴール前のシュートブロックは意識しているので、そこをもう1回やり続けば、逆に得点に繋がるはず」(山本)
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