【本田泰人の目】森保監督が見極める“持っている”選手。古橋の活躍に上田も危機感を覚えているはずだ

2023年06月17日 本田泰人

元川崎勢の組み合わせは安心感がある

エルサルバドル戦で上田はPKの1点のみ。期待しているからこそ、不満の残る内容だったかな。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表は6月15日、キリンチャレンジカップでエルサルバドル代表と対戦。開始1分に谷口彰悟のヘッド弾で先制し、4分には相手が退場となるファウルで得たPKを上田綺世が決め、早々に2点をリードする。その後も得点を重ね、6-0の勝利。圧巻のゴールショーとなった一戦を、鹿島のレジェンドで元日本代表MFの本田泰人はどう見たか。

――◆――◆――

 強化試合として考えれば、「11人対10人」のハンデをいきなりもらうのは、日本にとってまったくもって嬉しくなかったけど、そんななかで初招集組や復帰組が多く出られたこと、堂安律―久保建英の同時起用を見られたのは収穫だろう。

 堂安と久保は、なぜこれまで同時に起用しなかったのか、不思議でならないよ。あんなにお互いを知りつくしていて、攻撃のアクセントになるし、あうんの呼吸があるわけだから。案の定、パス交換をかなりしていて、相手にとって脅威になっていた。僕が相手のディフェンダーだったら、あの距離感でやられると、ちょっと嫌だよね。

 この日採用した4-1-4-1は、堂安―久保のコンビネーションだけではなく、三笘薫のドリブルが活きるシステムにもなる可能性があると感じたよ。

 最初は左サイドバックの森下龍矢がスペースを埋めて行ってしまった。彼は激しく上下運動できるから、どんどん三笘の裏を回って行って、三笘のスペースを埋めていた。
 
 そうなると、三笘の"勝負の場面"というのはなかなか生まれてこない。左サイドバックの選手は、明らかに三笘のドリブルを活かすための"おとり"になるべきだ。三笘が前にいて「勝負しそうだな」と思ったら、ある程度サポートするだけでいい。

 三笘の使い方については、やはり旗手怜央や守田英正は川崎フロンターレでやっていただけあって、すごく上手かった。元川崎勢の組み合わせは見ていて安心感がある。あとは森下がこれから覚えてくれたら、"三笘システム"はもっと良くなると思うよ。

 個人的に不満なのは、1トップに入った上田だね。チームとしては、たくさんのチャンスがあって6ゴールも生まれた。そんななかで上田はPKの1点しか取れなかったんだから、本人が一番悔しい思いしているのだろうけど、僕の目から見ても、全然彼は力を発揮できなかったよね。

 鹿島時代の上田のイメージを知っているからこそ、能力は高いんだからもっとできると思う。もっと自分で要求しないといけないし、期待しているからこそ、ちょっと辛口で言わせてもらうよ。

【PHOTO】豊田スタジアムに駆けつけた日本代表サポーターを特集!

次ページ上田だってそう思われているんだろうね

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事