インハイ予選で大車輪の活躍、静岡学園のエース神田奏真がプレーに取り入れる“古武術”。「苦しい時に必ず点が取れる」FWを目ざす

2023年06月08日 安藤隆人

チームを2年ぶりの本大会に導く

インターハイ静岡県予選、3試合で7ゴールを記録した神田。写真:安藤隆人

 静岡学園のエースが吠えた。インターハイ静岡県予選において、最前線でチームのためにハードワークができるストライカー神田奏真が大車輪の活躍を見せた。

 178センチのサイズを持つ神田は、準々決勝の浜名戦(4-1)でハットトリックを達成すると、準決勝の飛龍戦(3-2)では立ち上がりにチームに勢いをつける先制弾。さらにもう1点を追加した。

 圧巻は清水桜が丘との決勝戦。0-1で迎えた後半アディショナルタイム3分、ロングボールを驚異的なジャンプ力で胸トラップしてコントロールすると、右足で鮮やかな劇的同点弾を突き刺した。

 さらに延長戦開始早々、こちらも鮮やかなドリブルからシュートを叩き込んで、2-1と逆転でチームを2年ぶりの本大会に導いた。

「今大会は自分のゴールで勝たせたいと思っています。それが自分の義務だと思っています」
 
 今大会、神田は並々ならぬ決意を持って挑んでいた。その理由はこれまでの自分に対する不甲斐なさにあった。チームはプレミアリーグWESTで首位をひた走っているが、静岡学園の17得点中、神田が挙げたゴールは5のみだった。

「この数字にはかなり責任感を感じていて、自分のゴールでチームを勝たせられていないし、他のチームのエースがどんどん点をとっているのにこの数字は悔しい」と語ったように、神村学園のFW西丸道人が12ゴール、大津のMF碇明日麻が9ゴールを挙げている現実を捉え、「僕より上のスコアラーは全員ライバルだと思っているので、追い付かないといけない」と危機感を抱いていた。

 それだけに今回の3試合で7ゴールという結果は、まさに彼の意地だった。

 神田の凄さはこのメンタル面、決定力だけではない。改めて凄さは何かと問われた時、真っ先に類稀なるフィジカルコントロールだと答えられる。

 プレーを見ていると、「なぜそこでマイボールとして入れ替われるの?」、「なんで挟まれた状況ですり抜けられるの?」と疑問に思うことが多い。その疑問から神田のプレーをよく観察をしてみると、『あること』に気がついた。
 

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