【皇后杯決勝】ラストマッチで澤穂希が放った眩しき輝き。レジェンドを失う日本女子サッカー界の行方は? 

2015年12月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

CKから狙い通りの決勝弾。

自身のラストマッチでも勝負強さを見せた澤。自らの手で優勝を手繰り寄せた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 まさにこれぞ澤穂希だという活躍だった。
 
【皇后杯決勝 PHOTOハイライト】INAC神戸レオネッサ 1-0 アルビレックス新潟レディース

 今季限りでの引退を発表し、泣いても笑っても最後の一戦となった皇后杯決勝。INACと新潟レディースが一進一退の攻防を繰り広げるなか、試合を決めたのはやはり"なでしこ界のレジェンド"だった。
 
 78分、INACがCKを獲得すると、「前半からCKのチャンスが何度かあって、相手がニアを固めているのは分かっていた。なのでファーが逆に空いているのかなと感じていた」と、得意のニアではなくファーで川澄からのボールを待ち受け、完璧なタイミングのヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。形は違えど、世界一に輝いた2011年のワールドカップ決勝、アメリカ戦での伝説のゴールを彷彿とさせる一撃だった。
 
「最後に決めるのはやはり持っているなと。これまで全力でやってきた証しが最後に表われた」(松田岳夫INAC監督)
 
「僕らにはないものを持っている。彼女がいたからこそ女子サッカーはここまで来られた」(文弘宣INAC会長)
 
「最高の引退。素晴らしい。彼女がいなかったらワールドカップの優勝はなかった。こんな良い形で終われるなんて彼女だからこそ」(大仁邦彌日本サッカー協会会長)
 
「重要な場面で決めたのは一回や二回ではないので、本当に凄い人だなと。澤さんとプレーしたことはすべて覚えている」(安藤梢/エッセン)
 
「もう凄いとさすがの言葉以外にないです」(川澄奈穂美/INAC)
 
「あのシーンで決めちゃうところはさすが。やっぱり特別な存在」(大野忍/INAC)
 
 多くの仲間、関係者が賛辞の言葉を贈るとおり、もはやその勝負強さは神懸っていると言わざるを得ない。重要な場面でゴールを奪える秘訣はなにかという質問には「どうしてなのかは分かりません。でも最後まで諦めない気持ちとハードワークは常に意識している」と答えるに止めたが、その出来すぎた幕切れに「もう悔いはない」とスッキリした表情を浮かべた。
 

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