「選手として、人として強くなれた」菅原由勢と恩師が口を揃えた“AZ4年間での進化”。「今はスイッチを切っちゃいけない」といざ、日本代表戦へ!【現地発】

2023年05月29日 中田徹

最終節、オランダ屈指のウイングとのシビれる駆け引き

今シーズンは公式戦通算で4G11Aをマークした菅原。またひとつ充実の一年を重ねた。(C)Getty Images

 5月28日、オランダ・リーグ最終節、AZ対PSVは0-1で後半32分を迎えていた。

 電光掲示板に「トゥエンテ3-1アヤックス」という途中経過が映し出されると、AZサポーターで埋まったスタジアムのボルテージが一気に上がった。AZがPSVを破り、アヤックスがトゥエンテに敗れれば両チームの順位がひっくり返り、AZは3位(ELプレーオフ出場権)でシーズンを終えることができるのだ。
 
 大声援を受けたAZは攻勢を仕掛け、後半39分にはFWカールソンのPKで1-1に追いつく。しかし、後半アディショナルタイム7分に、PSVのエースに成長した20歳、チャビ・シモンスに決勝ゴールを許し、AZは1-2で敗北を喫した。最終的に4位(UEFAカンファレンスリーグ予選3回戦出場権)のままシーズンを終えている。

 AZの右SB菅原由勢は、PSVのエース格で左ウイングのシモンスを慎重に見張りながら、攻撃する機会を伺っていた。前半14分にはシモンスのドリブル突破を、ゴール裏サポーターの目前で渾身のタックルで止めて喝采を浴びていた。後半2分にはシモンスのヒールによるフリックを読み切って、インターセプトからカウンターの起点に。ここまで菅原はしっかりシモンスを抑えていた。
 
 しかし、AZのフィールドプレーヤー全員がPSV陣内に押し入り、ゴールを奪いに出た後半20分、PSVは鮮やかなカウンターを仕掛け、CFルーク・デ・ヨングの好パス受けたシモンスが単騎ドリブルでAZゴールに襲いかかる。完全に後手に回った菅原がなんとかバイタルエリアで追いつき、シモンスを止めにかかったが振り切られ、ゴールを決められ、0-1とされてしまう。終了間際にシモンスに決められた2点目も、菅原を含むAZの3選手がかわされて許したゴールだった。

「ある程度リスクを背負って攻撃しないといけなかったなかで、後ろがほぼ1人か2人で対応しないといけなかった。シモンス選手はオランダ屈指のウイングなので、マッチアップしてすごくいい選手だなと思いました。楽しくやり合えましたが、2ゴールを決められてしまったわけなんで……。展開が展開だったとは言え、彼がゴールを決めたことに変わりはないので、そこは自分でもしっかり受け止めないといけない」

 1失点目、シモンスに対する菅原の対応は、レッドカード覚悟のタックルで止めようとしたかと思われたが、あのときの本人の心中はどうだったのだろうか?

「迷ったというか……。時間もまだあった。あの位置でファウルをしたらレッドカードというのは分かっていたので、それをやるかやらないか、頭の後ろに少し浮かびましたが、ファウルをしないように、できる限りのことをしようという感じでした。あそこでちょっとでもボールに触れることができたりしたら、なにか変わっていたろうし……。悔しいですね」

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