【皇后杯】“澤穂希らしさ”が凝縮された準決勝。17歳差の相棒を脱帽させたパフォーマンスで念願の決勝へ

2015年12月23日 本田健介(サッカーダイジェスト)

宣言したとおり泥臭く戦い、決勝進出を勝ち取る。

準決勝の仙台L戦では、随所に澤らしいプレーを披露。身体を張って相手の攻撃を撥ね返し、決勝進出に大きく貢献した。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「皇后杯は1試合、1試合すべての力を出し切って、支えてくれた人に感謝の気持ちを込めて澤穂希らしい泥臭いプレーを見せたい」

【皇后杯準決勝 PHOTOハイライト】

 澤は先日の引退会見で皇后杯への熱い想いを語っていた。有終の美を飾れるか――。多くの耳目が集まるなか、23日の準決勝・仙台L戦では2-0の勝利に貢献し、"ラスト1戦"となる決勝への切符を掴み取った。
 
"澤穂希らしい泥臭いプレー"はこの日も健在だった。往年のようなダイナミックな攻め上がりはなくとも、中盤の底で気迫のこもったプレーでチームを助ける。8分には相手が振り上げた足を恐れずにルーズボールへ頭から突っ込み、14分には激しいタックルを見せ、周囲を鼓舞する。後半には相手のカウンターの芽をことごとく摘んだ。

 その姿を見ていて、思い出したのが今年の5月、カナダ・女子ワールドカップを前に佐々木則夫監督にインタビューをした際の言葉だ。調度、当落線上にいた澤が本大会メンバー入りを決めた直後のことだった。

「(澤の選出は)年齢は関係ないですが、直前のリーグ戦を視察して、ワールドカップでMVPを獲った36歳のレジェンドが、あれだけ身体を張っているのになんで周りの選手がもっとやらないのかと考えさせられました。
 
 そういう部分はみんなにもっと感じてほしい。なおかつ、彼女は周囲にボールを渡すために必死にスライディングをする。日本のトップにいる選手が、あの姿勢を貫くのはなかなかできるものではないですよ。今回の選出は経験を加味してということではなく、今のパフォーマンスを正当に評価してのことです」

 天皇杯準決勝ではこの指揮官の言葉通り、澤は後輩たちへバトンを渡そうと必死に戦っているように見えた。

次ページ“チームのおもし”としてなくてはならない存在。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事