「まだ諦めていない」堂安律ら戦力充実のフライブルク、最終節で初のCL出場権を掴めるか【現地発】

2023年05月24日 中野吉之伴

4位のウニオンと勝点で並ぶ

ヴォルフスブルクに快勝したフライブルクの堂安。(C)Getty Images

 日本代表MF堂安律がプレーするフライブルクは、ブンデスリーガ第33節でヴォルフスブルクをホームに迎え、2-0で快勝した。4位のウニオン・ベルリンがホッフェンハイムに2-4で敗れたため、最終節を前に同じ勝点で5位につけている。

 直近のリーグ戦では、チャンピオンズリーグ(CL)出場権を争うRBライプツィヒ、ウニオンに連敗していたが、CL出場の夢はまだ潰えていない。

 監督のクリスティアン・シュトライヒ監督はこの日、非常に思い切りのいい采配を見せた。レギュラー組だったキャプテンでドイツ代表の左SBクリスティアン・ギュンターや右SBルーカス・キュブラーをベンチスタートさせ、左サイドにはドイツU-21代表ノア・ヴァイスハウプト、左CBにはケネス・シュミットをスタメンに選んだのだ。

 それぞれ今季2度目のスタメン出場だ。若手のフレッシュさと勢いを信じての抜擢となったが、2人は勇敢なプレーでチームに躍動感をもたらす活躍を見せた。

 そしてキュブラーに代わり、右WBで起用されたのが、ロランド・シャライだった。シャライは切れ味鋭いドリブルとゴール前でのアシスト能力が高い選手で、昨季まではレギュラー起用されることが多かったが、今季は堂安の影に隠れる存在となっていた。
 
 出場機会が少なくなったことに悩みを抱えたりもしただろう。怒った父親で代理人を務めるティボア・シャライがシュトライヒ監督に噛みついたり、トレーニングから上手くパフォーマンスを発揮できないシャライをメンバーから外し、「じっくり考えるための休み」を取らせたりすることもあった。

 そんなシャライがこのヴォルフスブルク戦では慣れないポジションながら、攻守に抜群のプレーを披露し、チームの勝利に貢献していたのがとても印象深い。試合後には「僕はピッチに出て自分のパフォーマンスを最大限に出すことに集中していた。最後の試合までやるべきことに全力で取り組むよ」と嬉しそうに話していた。

 活躍したのは彼らだけではない。この5年間、出場停止以外でスタメンから外れたことがなかったギュンターは、後半途中からピッチに姿を現すと、いきなり強烈な左足シュートで貴重な先制点をマーク。さらに今季限りでの引退を表明しているニルス・ペーターセンが、途中交代から入り、チーム2点目を決めてみせたのだ。スタジアムの雰囲気はこれ以上ないほど盛り上がっていた。

 試合後のミックスゾーンでは、どの選手も意気揚々に取材陣の質問に答えていく。ギュンターは「個の力でより優れた選手を揃えたヴォルフスブルクを相手に完勝したわけですが」というのを耳にして、「え?個の力って向こうの方が優れているかな?(苦笑)」と鋭く返す。

 それに対して顔なじみのリポーターは「ああ、そうですね。じゃあ選手予算がより多いチームということで」と切り替えると、「そうだね、それは言えるかもね」と言ってギュンターは笑い、試合を振り返っていた。

「最初から良い内容の試合で、プレスもチャンスメイクも良かった。このチームは何度も立ち上がってきたんだ。上手くいかない試合もあったけど、いつでも自分達を信じて戻ってこれる。あと1試合だ。最終節まで何かをかけてプレーできるというのは素敵だね。ブンデスリーガにとってもファンにとっても僕らにとっても素敵な状況だ。チャンスを掴むために最大限のプレーを見せるよ」
 

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