現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「武藤は機敏性に富んだ“小型車”」

2015年12月18日 ラインハルト・レーベルク

スペースを消された時にどう崩すか。

武藤は57分に決定機を迎えたものの、決めきれず。81分にコルドバと交代してピッチを後にした。 (C) Getty Images

 マインツは昨シーズン途中から指揮を執るマルティン・シュミット監督の下、積極的なプレスでボールを奪い、素早く攻撃に転じるトランジションサッカーの成熟化に取り組んできた。

 その成果は、今シーズンの成績に表れている。16試合を終えて、勝点24の7位。昨シーズンの同時期に勝点18の11位だったことを考えれば、前半戦の出来は上々と言えるだろう。

 一方で、課題も浮き彫りになった。守りを固めた相手に対して、ポゼッションせざるを得なくなった時にどう崩すかである。

 マインツの攻撃の生命線は、スペースの活用にある。ユヌス・マッリが高速ドリブル、武藤嘉紀が裏への飛び出し、ハイロ・サンペリオとパブロ・デ・ブラシスの両ウインガーが縦への突破でスペースを突き、チャンスを作り出す。

 しかし、選手が密集した"藪"の中では、スペースがなくなる。すると、たちまち手詰まりに陥ってしまうのだ。

 開幕戦のインゴルシュタット戦(0-1)、10節のブレーメン戦(1-3)、16節のシュツットガルト戦(0-0)がまさにそうだった。敵陣深くに築かれた細かい網目のような守備ブロックを切り崩す術を見つけられなかったのだ。

次ページバイエルンとドルトムントにあって、マインツにないもの。

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