【識者が選ぶJ歴代ベストイレブン】最強“2001ジュビロ”に当てはめれば? 名波を囲むのは小笠原、遠藤、青山、中村

2023年05月09日 河治良幸

本当は中村俊輔も入れたかった

河治氏が選出した歴代ベストイレブン。MVPは“生ける伝説”遠藤だ。(C)SOCCER DIGEST

 Jリーグ30周年の特別企画。歴代ベストイレブンを選ぶならどんな顔触れになるか。そしてMVPは? 国内外のサッカー事情に精通する河治良幸氏にセレクトしてもらった。

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 Jリーグ30年の歴史でベストイレブンを選ぶというのは、極めて難しい。やはり時代、時代で求められているサッカーや選手の特長が違うし、何よりJリーグも世界のサッカーの影響を徐々にでも受けながら進化、変容してきている。

 そうした前提にあっても選手に求められるクオリティには共通するところがあり、どれだけ時代が変わろうと、そこは変わらないはず。

 筆者はすでに、YouTubeチャンネル『サッカーダイジェストTV』でベストイレブンを選んでおり、"今、J1で優勝するためのベストメンバー"という基準で選ばせていただいた。そちらは配信をチェックしていただきたいが、本稿でシンプルに選ぶと人選が被ってしまう部分が多々あるので、1つテーマを設定した。

 歴代の最強チームというのも十人十色であると思うが、魅力も含めて識者やファンの多くが挙げるのは、「N-BOX」という特殊なシステムを用いた2001年のジュビロ磐田だ。

「N-BOX」のNは現・日本代表コーチでもあるレフティ名波浩のイニシャル。3バック、2トップをベースとして、中盤は典型的なサイドプレーヤーを置かずに、司令塔の名波を箱で囲むように四人が位置されるシステムで、シュート、パスを駆使した多彩な攻撃でJリーグを席巻した。
 
 実際は2002年のチームが"最強"という説も多々あるが、左右のウイングバックを配置する、よりオーソドックな3ー5ー2だったので、面白さを追求するために2001年磐田の「N-BOX」を利用して、歴代選手からフィットしそうな布陣を考えた。

 当時のメンバーから名波だけを残し、その他は別の選手を当てはめることにする。もちろん中山雅史など、普通に選んでも歴代ベストイレブンに入りそうな選手はいるが、あえて外した。

 まず中盤では、名波を中心に、ボランチは遠藤保仁と青山敏弘、二列目には小笠原満男と中村憲剛をセットした。小笠原と遠藤は前後逆でも良いのではという意見もありそうだが、これだけパスの出し手がいると、受け手として飛び出せる能力の高い小笠原を前目に置いて、同時に即時奪回のキーマンとしても位置付けている。

 一方の遠藤は相手のプレスを吸収しながら、名波を前向きにさせる「起点の起点」として期待したい。攻撃的なイメージは強いが、球際や局面でのデュエルの強さもある。青山は最高のバランサーであり、中盤で細かくボールを回すだけでなく「一本のパス」で2トップや二列目から飛び出す小笠原など、ゴールを直接アシストしてくれるだろう。

 中村憲に関しては素晴らしいテクニシャンでありながら、この中盤で最も気が利く存在であり、極論、状況に応じてどうとでも立ち回れる。

 本当はここに中村俊輔も入れたかったが、同じ左利きの名波と少しキャラクターが被るということで、もう一人の「N」として控えてもらうことにする。

 ただ、二列目に中村憲や小笠原のところに入ることもできるので、ここという時のセットプレーのキッカーなど起用法に事欠かないだろう。ただ、セットプレーは遠藤をはじめ、誰に蹴らせていいか分からないほど豪華ではあるが(笑)。
 

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