「勝負にならない」三笘薫をブレイクに導いたデ・ゼルビが影響を受けた2人の名将は? 選手が「最高の監督」と慕う戦術家の素顔とは――【現地発】

2023年05月06日 井川洋一

「たまに負けることはあっても、それが長く続くことはない」

三笘がレギュラーに抜擢されたのはデ・ゼルビ監督(右)就任後だ。(C)Getty Images

「フットボールの神様が、今日は正しい裁きを下してくれた。(マンチェスター・ユナイテッドに勝った)今日の試合も、(ユナイテッドに敗れた)先日のFAカップ準決勝も、勝利にふさわしかったのは我々だった。良いプレーをしていれば、たまに負けることはあっても、それが長く続くことはない。経験上、私はそう考えている」

 現地時間5月4日に行われたプレミアリーグのホームゲームで、マンチェスター・ユナイテッドを下したブライトン&ホーヴ・アルビオンのロベルト・デ・ゼルビ監督は、試合後の会見でそう語った。

 スコアレスドローが濃厚と思われた後半アディショナルタイムに、ユナイテッドのルーク・ショーがボックス内でハンドを犯したことがVARで認められ、アレックス・マク・アリステルが重圧をものともせずに、左のトップコーナーに見事なスポットキックを決め、ブライトンが劇的な勝利を収めた。

 2週間前のリベンジをこのような形で果たしたからか、現在43歳のイタリア人指揮官は「カルチョの神様」と口にしたが、彼のアプローチに神頼み的な要素はないように見える。左利きのファンタジスタとして不遇の現役時代を過ごしたデ・ゼルビは、妻が呆れるくらい毎日、このスポーツについて考えてきたという。
 
【動画】「ひどいダイブ」元英代表監督が批判!三笘が倒れた前半のノーPKシーン
 指導者を志した際にはジョゼップ・グアルディオラの練習法を研究し、パレルモの監督を解任された時にはそこで落ち込むことなく、マルセロ・ビエルサにトレーニングを見せてもらって自らの腕を磨いた。この二人はデ・ゼルビが最大限の敬意を示すメンターだ。

 だからプレミアリーグの前節のウォルバーハンプトン戦で6-0の大勝を収め、「自分の指導キャリアで最高の白星」と語った後、記者から「あなたのブライトンは今や、世界一のプレースタイルとも評されている。グアルディオラのチームさえも上回っていると思いますか?」と問われると、次のように返答した。

「ノー、それはない。グアルディオラとマルセロ・ビエルサだけは、勝負にならない。試合では勝てる時があるかもしれないが、存在として上回れるとは絶対に思えない。彼らはフットボールでもっとも偉大な監督だ」

【動画】「キレすごいな」「ドリブル完璧だった」三笘が天敵をついに攻略→4人包囲網打破のシュート

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