「ベンチに下がる憮然とした表情が物語っていた」ダービーで不完全燃焼の久保建英。番記者は“戦術ミス”を指摘。敵SBの肘打ちには「明らかなPK」【現地発】

2023年04月22日 ミケル・レカルデ

宿敵ビルバオに0-2の完敗

ダービーではユーリの激しいプレーに苦しんだ久保。(C)Getty Images

 バスク・ダービーのような大一番の後に、一歩引いて選手の試合前の発言を分析するのは、啓発的かつ興味深い試みだ。

「激戦になるのは間違いない。集中力を保ちながら、ゴール前での攻防戦を制するか否かが勝敗のカギを握る。いつもどおりの仕事をしなければならないし、そうすればきっといい結果につながるはずだ」

「重要なのは、ゴール前での攻防戦を制すること。すなわち効率よく得点を奪い、守備陣は無失点に抑えることだ。もちろんセットプレーや球際の激しさといったディテールにも気を配れなければならない」

 イゴール・スベルディアとアンドニ・ゴロサベルが口を揃えて、「ゴール前での攻防戦」をポイントに挙げていたが、言うは易し行なうは難し。自軍ペナルティエリア内での守備が緩慢で、攻撃陣も最後の詰めが甘く、0-2の完敗を喫した。

【動画】クロスを冷静に流し込む!久保がヘタフェ戦で決めた偉業達成弾
 タケ・クボ(久保建英)にとっては敵地サン・マメスでの初ダービーだった。得点を決めたヘタフェ戦の直後から、「ここにきて物事がうまく運び始めている。ダービー戦に向けて、これから1週間、再び最大限の準備をしなければならない」と闘志を燃やしていた。

 しかし、タケもまた今回は、試合の重要性、対戦相手、舞台装置が求めるパフォーマンスを披露することができなかった。前半スタート時のソシエダのシステムは4-4-2。タケはヘタフェ戦に続いて、ミケル・オジャルサバルとともに2トップを形成した。

 意外だったのは、そのポジションだ。今シーズン初スタメンのカパのコンディションを考えれば、突破力に長けたタケをぶつけるのが定石だが、前半終盤を除けば左サイドでプレーする機会は限られた。

 アスレティック・ビルバオはアノエタでの第1ラウンドでゴールを決めたタケを明らかに警戒していた。その実行部隊となったのがユーリ・ベルチチェだ。アグレッシブな守備が持ち味の元ソシエダの左SBは、主審の基準が甘いことをいいことに、反則すれすれのプレーを連発。タケがボールを持つたびに、息をふきかけんかばかりの密着マークで突破を封じにかかった。タケは決闘の要求を受け入れ堂々と立ち向かったが、残念なことにいつものプレーの精度を欠いていた。

【動画】「キープ力すげーな」"4人包囲網"を突破した久保のキレキレドリブル

次ページ後半に入ると、試合の流れが変わった

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