現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「香川に強いメンタリティーが備わっていたからこそ生まれたゴール」

2015年12月10日 マルクス・バーク

「あと5ポイント」と考える人はドルトムントにはいない。

ヴォルフスブルク戦で大仕事をやってのけた香川。93分に千金弾を叩き込めたのは、強いメンタリティーが備わっていたからこそだ(C)Getty Images

 この数週間、いやもう数か月に渡って、ドイツではこんな議論が交わされている。ブンデスリーガをふたたびスリリングなものするには、どうしたらいいか――。バイエルンの一強体制が、娯楽性の低下に繋がりかねないからである。
 
 本質的な問題はなにも変わっていないとはいえ、15節のドルトムント対ヴォルフスブルク戦でこの議論は一旦鳴りを潜めた。そう、香川真司のおかげで。
 
 93分に香川が決めた決勝ゴールは、ドルトムントとそのサポーターにとって前半戦のハイライトとなった。91分にPKで同点に追いつかれるも、そのわずか2分後、ヘンリク・ムヒタリアンのダイレクトパスに香川が左足で合わせて2-1。まさに劇的な幕切れだった(試合レポートはこちら)。
 
 もっとも、ドルトムントの視界にあるのは引き続き、2位である。同節に首位バイエルンがボルシアMGに破れたため、勝点差は5ポイントに縮まったものの、「あと5ポイント」と考える人はドルトムントにはいない。
 
 個人的な考えを言えば、プロスポーツにおいて高い目標を掲げないチームはおかしいと思う。しかし、現在のブンデスリーガでは仕方ないだろう。バイエルンの選手層は厚く、勝点を取りこぼすような失態を今後演じないはずだからだ。ドルトムントはこれまでどおり、自分たちのことだけに集中したほうがいい。
 

次ページ同点に追いつかれても再び勝ち越すという強い気持ちが…。

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