日本人4選手が出場した下位直接対決で感じた緊張感。伊藤弾のシュツットは最下位脱も、浅野所属ボーフムはファンと選手が衝突「一致団結しなければ…」【現地発】

2023年04月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

負けるわけにはいかないというピリピリとした空気

シュツットガルトに貴重な先制点をもたらした伊藤(中央)。(C)Getty Images

 ブンデスリーガ第27節で日本代表FW浅野拓磨がプレーするボーフムは、遠藤航、伊藤洋輝、原口元気の日本人トリオを擁するシュツットガルトをホームに迎えた。26節終了時でボーフムは勝点26の14位。一方でシュツットガルトは勝点20の最下位に沈んでいた。

 第26節でウニオンに0-3で敗れたシュツットガルトはブルーノ・ラバディア監督を解任。元ホッフェンハイム監督のセバスティアン・ヘーネスを新監督として迎えている。残留を懸けた大一番。これで残留が決まるわけではないが、どちらのチームにとってもこの試合で勝点3を手にできれば、それが大きな一歩になるのは間違いない。

 ファンはこの試合の大切さを知っている。いつも通り、ボーフムのスタジアムは熱気にあふれていたが、この日は緊張感も感じられた。負けるわけにはいかないというピリピリとした空気が感じられた。

 試合開始前にチームソングが流れると一斉にボーフムファンは立ち上がり、大きな声で歌い上げる。炭鉱町のクラブだ。戦いを受け入れ、戦い抜くことを美徳とするクラブだ。苦難に屈しない気概を持った戦士が集うクラブだ。勇敢な試合をみんなが期待していた。
 
 シュツットガルトも負けてはいない。数では少ないが、アウェーブロックにコレオを掲げ、チームを鼓舞する声援を送る。ヘーネス新監督就任後初戦となったドイツカップ準々決勝では2部リーグのニュルンベルクに苦戦しながら、終盤の1点で何とか勝利を収めている。

 シュツットガルトは3バックへシステムを戻し、伊藤はその左CBでスタメン。身体がどっしりしていて、競り合いで強さを発揮。ポジションの取り合いで優位に立つ。加えてこの試合では的確なオーバーラップで何度も攻撃に変化をもたらしていたのが印象的だった。

 先制点を叩き出したのも伊藤の左足だ。14分、ビルドアップからのパスを前線に送るとそのままスルスルとペナルティエリア付近まで上がる。左ウイングバックのボルナ・ソサが供給したクロスはクリアされたが、そのこぼれ球を左足のダイレクトで捉え、見事にゴールへ叩き込んだ。

 待望の先制点にヘーネス監督もガッツポーズ。この日、ベンチスタートだった原口も他の選手と一緒に飛び出し、このゴールを喜ぶ。試合後、「速い時間帯でのゴールが自分たちに相当有利に進む機会をもたらしてくれた」と伊藤のゴールを評価した。

【動画】「とんでもないゴール」「超いかつい」など反響!伊藤洋輝の豪快弾

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