【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「もはや“どん底”だ。本人が望めば1月の退団も」

2015年12月09日 マルコ・パソット

アピールの絶好のチャンスで酷い出来に終始した。

本田はコッパ・イタリアのクロトーネ戦で先発したが、まったくインパクトを残せず。レギュラー復帰に向けたチャンスを逃した。(C)Getty Images

 日を重ねるごと、試合を重ねるごとに、状況を立て直せる確率は減っていく。そして今、その可能性は限りなくゼロに近い。
 
 本田圭佑のミランでの冒険に底があるとしたら、12月1日のコッパ・イタリアのクロトーネ戦で、本田はまさしくどん底に辿り着いたと言える。
 
 クロトーネは現在好調でセリエA昇格を視野に入れているが、それでもセリエBのチームである。ほとんどの選手は、聖地サン・シーロに足を踏み入れるのも生まれて初めてだった。
 
 本田のようなセリエAで使ってもらえない選手たちにとっては、自分をアピールする絶好のチャンスだった。しかし、"二軍の選手"たちは揃ってレギュラー奪取に繋がるようなパフォーマンスを見せられなかった。
 
 結局、ミランに3-1の勝利をもたらしたのは、2人のレギュラー、ジャコモ・ボナベントゥーラとリッカルド・モントリーボだった。本来なら控え選手たちを試す場だったというのに、勝利も危うくなって主力を途中投入せざるをえなかったのだ。バックアッパーたちはチャンスを与えたにもかかわらず、逆に首脳陣にもシニシャ・ミハイロビッチ監督にも、「やはりこいつらはダメだ…」と確信させてしまった。
 
 この"失敗した控えの選手"の中には、本田も含まれる。いや、それどころか最もダメージを受けたのは、この背番号10かもしれない。なぜならかの有名な発言に、今なら監督だけでなく、誰もが答えられるようになってしまったからだ。
 
「なぜ使われないかって? お前の今日のプレーがその答だ」
 
 最後の5分間にしかチャンスが与えられないような選手ではないと証明する絶好のチャンスを、本田は逃してしまった。モチベーションが下がっているのか(それはそれで致し方ないとは思う)、試合勘が鈍っているのか、その理由は分からないが、とにかくこの日の本田の出来はかなり酷かった。
 
「動きは鈍く、ぼんやりしていて、正気がなかった」
 
 我が『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は、試合後の寸評にそう書いた。かなり無慈悲な言葉だが、真実なのだから仕方がない。そう思っていたのは我々だけではない証拠に、本田とその仲間に対してサン・シーロのファンは容赦なくブーイングを浴びせたし、本田はその5日後のカルピ戦(試合レポートはこちら)ではピッチに入ることすらできなかった。

 
 ビリから2番目だったカルピとスコアレスドローに終わったこの一戦で、オーナーのシルビオ・ベルルスコーニの機嫌はまた悪化した。今のミランは好不調の波があまりに激しく、チャンピオンズ・リーグ出場(セリエA3位以内)という目標はまるで夢物語か、出来の悪い冗談のようにしか聞こえない。

次ページ残るも去るもすべては本田の決断次第だ。

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