審判委員会幹部への現金贈与事件に沈黙するバルサを番記者が糾弾!「倫理に反する」「会長の態度は不可解」【現地発】

2023年03月31日 エル・パイス紙

理事会が声明を発表することも、クラブとして公式に見解を示すこともない

審判買収疑惑に啖呵を切ったラポルタ会長。(C)Getty Images

 バルセロナが、審判技術委員会(CTA)元副会長のホセ・マリア・エンリケス・ネグレイラに2001年から2018年の間に730万円を支払っていた問題について沈黙を守っている。理事会が声明を発表することも、クラブとして公式に見解を示すこともない。

 他のクラブがしているような働きかけをしたに過ぎず、買収までは行なっていないという見方が大半であるが、個人個人が好き勝手に自分の意見を発言している状況が混乱に拍車をかけている。

しかも不可解なのは、その張本人の1人がジョアン・ラポルタであることだ。クラブの会長は「我々の名前を汚そうとしている悪党どもに本気で立ち向かう使命感に燃えている」と啖呵を切っている。

 ソシオは「どうしてクラブは17年間という長期間に渡り、審判委員会の幹部に750万円を支払ったのか」という問いに対する論理的な答を待ち望んでいるが、ラポルタが選んだのは理性よりも感情だった。
 
 検察庁によると、資金がどのような用途に使用されたかはまだ分かっていないが、脅迫、恐喝、第三者への支払い、そしてチームに有利な判定を下すことを仕向けたり、中立性を保証しようとしたのではないかと推測するのに足りる動機は見つかっているという。

 まだバルサは告発されただけで、証拠が見つかったわけではない。これからも有罪であることが証明されることはないかもしれない。しかしながら、請求書を作成し処理した者から、それを命じた者、その額を増やした者に至るまで、歴代経営陣の不手際ぶりは目に余るものがある。

 一つ確かなのは、バルサがしていたことは倫理に反するものであることだ。推定無罪が適用されるとはいえ、嘆かわしく非難されるべき行為である。

 そんな中におけるカンプ・ノウを支配している沈黙は、エンリケス・ネグレイラがCTAの幹部を務めている間にバルサに与えられたPKや獲得したタイトルの数をカウントし始めている者たちが巻き起こす騒音と同じくらい耳障りなものになっている。当事者の1人であるラポルタの態度も、風評被害を軽減する効果をまるで果たしていない。
 

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