ビルドアップからの崩しで「成功体験」となった12分のシーン。興味深い左SB伊藤洋輝の動き直し

2023年03月25日 河治良幸

国際的なトレンドを考えれば目新しくないが…

狙いを持ったポジショニングでチャンスに絡んだ伊藤。ビルドアップで存在感を示した。写真:サッカーダイジェスト/JMPA代表撮影

[キリンチャレンジカップ]日本 1-1 ウルグアイ/3月24日/国立競技場

 日本代表のウルグアイ戦は、バルベルデのゴールで前半にリードを許した流れから、終盤に投入された西村拓真のファーストタッチゴールで追いついて、1ー1の引き分けに終わった。

 結果としてシュート4本に終わるなど、ホームのフレンドリーマッチとしてパフォーマンスだけを評価するなら物足りなさもあったが、日本代表が進化していくためのトライという意味ではポジティブに見ることもできる。

 森保一監督がメンバー発表の時から語っていた、ボールを奪ってカウンターができない時に、どうプレスを回避して、ビルドアップからボールを前に運んでいくか。組み立てのバリエーションをアップさせる狙いが、サイドバックやボランチの関わり方に見られた。
 
 分かりやすく言うなら、ボランチが最終ラインの間に落ちて捌いたり、サイドバックがボランチの脇をのぞいて、サイドハーフより内側にポジションを取るなど。

 国際的なトレンドを考えれば目新しいことではないが、活動日数が限られる代表チームで、何となくパターン化するのではなく、相手のディフェンスを見ながら選択肢を使い分けていくことは、机上で語るほど簡単なことではないだろう。ウルグアイ戦に関しては、後ろやサイドでボールを繋ぐことが、やや目的化してしまった部分もあるが、森保監督も多少、そうした度合いが強くなるのは想定内だろう。

 試合の中でも、もっとシンプルに三笘薫を使って、個の突破力を活かせばチャンスが増えただろう。ただ、それが1つの有効手段であることは分かったうえで、人数をかけてボールを動かしながら高い位置に起点を作るという方式は、チームとして積み上げるほど、状況判断やクオリティは上がっていくはず。そうしたベースが組み上がったところに、カウンターとの使い分けだったり、個人を上乗せできるかどうか。

 ビルドアップからの崩しが象徴的に表われたのが12分のシーンだ。左サイドバックの伊藤洋輝が「成功体験」と語った1つだが、ここのメカニズムを少し噛み砕いて解説したい。

【PHOTO】日本の出場17選手&監督の採点・寸評。MOMは途中出場から攻撃を活性化した伊東純也。三笘薫は何度か単独ドリブルで会場を沸かせたが…

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