【FIFA】次々と発覚する不正疑惑…。12月2~3日の理事会で提出予定の組織改革案とは?

2015年12月02日 木ノ原句望

特権喪失に繋がる改革案に理事はどんな反応を示すのか…。

カラール氏(写真)率いる改革委員会は、同じくFIFA内にある倫理委員会や監査・コンプライアンス委員会と連動して改革案の草案をまとめてきた。12月2~3日の理事会でその最終案が提出される見込み。(C)REUTERS/AFLO

 サッカーの世界統括団体であるFIFA(国際サッカー連盟)が12月、ひとつの節目を迎えようとしている。
 
 同月2~3日に本拠地のスイス・チューリヒで行なわれるFIFA理事会にて、FIFAの組織改革のための最終案が、改革委員会のフランソワ・カラール委員長から提出される予定なのだ。同時に追加提案もなされる見込みで、それがどんな内容なのか、注目が集まる。
 
 スイス人法律家のカラール氏は、2003年までの14年間に渡ってIOC(国際オリンピック委員会)で事務総長を務め、ソルトレーク・シティ冬季五輪招致スキャンダルの調査解明にも携わった一人。その手腕を買われ、不正疑惑に揺れるFIFAの組織改革の指揮官として、今年8月に任命された。
 
 一連の不正疑惑騒動は今年5月下旬のFIFA総会直前に、現職のFIFA副会長や元幹部を含めた関係者14人が米国司法当局の要請を受けたスイス警察に逮捕されたことによって、一気に火が付いた。
 
 その総会での会長選でジョセフ・ブラッター会長は5期目の当選を果たしたが、4日後に突然辞意を表明。後任が決定次第、職を退くと前置きしたうえで、それまで自らは徹底的な組織改革に取り組むとした。それを受けて改革委員会のトップに抜擢されたのが、カラール氏だった。
 
 不正疑惑の調査と処分は基本的に倫理委員会が担当するが、改革委員会も必要に応じて関係者に事情を聞きながら、改革案作成に努めてきた。とくにワールドカップ開催国決定などの重要案件に携わる理事会(25人構成)に、権力が集中してきた構造に着目。それを崩すために行政と経営を区別し、理事会を戦略立案や各種委員会とFIFA運営の監督業務を担う場に変え、名称も「評議会」に変更することなどを提案している。
 
 また、会長と理事の任期を最長3期の12年間とすることをはじめ、その会長と理事の74歳定年制や、会長と理事の報酬の公表、各種委員会数の見直しや加盟協会・連盟が決議に関われるようにすること、事務総長の名称をCEO(最高執行責任者)とし役割も変えること、なども検討されている。
 
 オーストラリアのモーヤ・ドッドFIFA特任理事は、「改革は会長選挙以上に重要」として改革推進を歓迎する姿勢を見せ、FIFA理事で日本サッカー協会の田嶋幸三副会長も改革実現のために「膿は全て出してほしい」と話している。だが、長年続いた特権の喪失に反発する理事も出ると見られ、今回の理事会での反応が気になるところだ。

次ページ不正疑惑の調査と組織改革の行方は会長選にも大きな影響が。

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