「タケは素晴らしい」エースではなく久保建英を先発に選んだソシエダ指揮官を伝説OBは支持!警戒されながら奮闘したローマ戦の出来を番記者も評価「勇敢に攻撃を牽引」【現地発】

2023年03月12日 ミケル・レカルデ

オジャルサバルの影響力を考えれば、論争を巻き起こしかねない決断

敗れたローマ戦で奮闘を見せた久保。(C)Getty Images

 先週の水曜日、サン・セバスティアンのベッドタウンの一つ、ラサルテの中心地が青と白のエンブレムピンバッジを着けた子供たちや家族連れでごった返した。

 平日にショッピングセンターに長蛇の列ができるほどの人だかりができるとは何事かと興味本位で近づく者も少なくなかった。そんな中、突然、タケ・クボ(久保建英)が姿を現し、ロックスターのように挨拶したとき、疑問は確信に変わった。

 日本人選手は2月のクラブ月間MVPに選出され、レアル・ソシエダがイベントを開催。予想クイズの当選者の中から抽選で選ばれた人に150ユーロの小切手をプレゼントし、その場に居合わせたファンと交流するというのが受賞者に与えられた"ご褒美"だった。

 あまりに多くの人が集まり、クラブの広報スタッフは「子供たちと一緒に写真を撮るのは控えたほうがいい」と助言したが、タケの礼儀正しさ、サービス精神の前には無力だった。「子供からリクエストされたら、一緒にポーズを取らないわけにはいかない」とむしろ困惑の表情を浮かべたほどだった。
 
 その翌日、レアル・ソシエダは、ローマとの大一番を控えていた。注目されたのがスタメンの人選だ。ダビド・シルバが戦列に復帰したことで、イマノル・アルグアシル監督は、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディ、ブライス・メンデスも含めた4人が中盤をダイヤモンド形に構成する4-4-2を採用する環境が整っていた。

 さらに2トップの一角を前戦のカディス戦でスタメンから外れ、温存されたアレクサンダー・セルロトが担い、その相棒をタケとミケル・オジャルサバルのどちらが務めるというのが最大の焦点だった。

 イマノル監督が出した回答は前者で、さらにブライスに代わり、カピタンのアシエル・イジャラメンディが中盤の一角に名を連ねた。オジャルサバルの影響力を考えれば、論争を巻き起こしかねない決断だが、そんな中、さらりと核心を突いたのがクラブの前レジェンド、シャビエル・プリエトだ。

「私はスタメンというものは常に良いものだと思っている。論争に火をつけるのはいつもメディアだ。タケは素晴らしいプレーを見せている。その一方で、オジャルサバルは9か月間の戦線離脱を経て復帰したばかりだ」
 

次ページファンはイベントでも示されたタケの実直な情熱に希望を託している

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