【FC東京】フィッカデンティ監督が今季かぎりで退任。来季、守備偏重から攻撃重視へ180度舵を切った場合、待っているのは後退か

2015年11月27日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

結果を求めて結果を出せなかったのだから、契約未更新も致し方ない部分はある。

フィッカデンティ監督は守備的なメンタリティを植え付けたが、肝心の結果は……。チャンピオンシップの出場権を逃したことが退任のひとつの決め手になったか。写真:サッカーダイジェスト

 11月27日、フィッカデンティ監督の退任が発表された。天皇杯で負けるまで(12月26日の準々決勝は広島が相手)は引き続き指揮を執るが、J1リーグのレギュラーシーズンが終わった数日後のタイミングで退任を発表した背景には、あくまで推測ながらクラブのフロントが年間4位に満足できなかったという側面が見え隠れする(リーグ優勝したら続投という噂もあった)。

 振り返れば、今年の新体制発表の席で大金社長は「今季は例年以上に結果にこだわりたい」と言っていた。フィッカデンティ監督も、内容以上に結果を求めるサッカーでリーグ優勝を目指した。

 しかし結果は、チャンピオンシップ出場にも届かない年間4位。勝てば自力で年間3位を確保できる鳥栖戦であんな悲劇的な結末(スコアレスドローの末に年間3位から4位に後退)を迎えたのだから、契約未更新も致し方ない部分はある。

 ただ、フィッカデンティ監督がこの2年間でFC東京の選手たちに植え付けた守備的なメンタリティは見逃せない。例えばポジショニングには「ミリ単位のこだわりがある」と森重が言うように、ディテールまで求めた結果、このイタリア人指揮官は専守防衛のチームを作り上げたのだ。

 守備戦術がなかなか浸透しなかった就任1年目の2014シーズンはリーグ序盤戦で苦戦。中断期のキャンプを経て一致団結してリーグ14戦無敗のクラブ記録を打ち立てたが、序盤戦の躓きが響き、終わってみれば2013シーズンよりひとつ低い9位だった。

 そう考えると、今季の年間4位は昨季からの積み重ねがあったからこそという見方もできる。先行逃げ切りの必勝パターンを確立したという点で、フィッカデンティ監督の手腕は評価できるだろう。その積み重ねを重視するなら続投という選択肢もあったわけだが、理由はどうあれフロントの答は契約未更新だった。

 これが果たして、吉と出るか、凶と出るか。

 11月27日の現時点で次期監督の筆頭候補に挙がるのは城福氏だ。甲府を率いた3シーズン(12~14)は堅守をベースに手堅いチームを作り上げたが、決して守備の人ではない。かつてFC東京を率いた際は人もボールも動く「ムービングサッカー」を標榜していた。

 城福氏がFC東京に復帰した場合は、もしかすると攻撃的なスタイルに舵を切る可能性がある。つまり、専守防衛とはまた違う戦い方を模索するかもしれないというわけだ。
 

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