吠える場面は一度や二度ではない。強烈な存在感を放った松木玖生に、同僚も「信頼しているし、頼ってしまう」と脱帽【U-20代表】

2023年03月10日 松尾祐希

攻守で躍動。後半も勢いは衰えず

サウジ戦で圧巻2発の松木。大一番で勝負強さを発揮した。写真:佐藤博之

[U-20アジア杯]日本2-1サウジアラビア/3月9日/ロコモティフ・スタジアム

 やはり、この男は頼りになる。

 グループステージ突破を懸け、1勝1敗の3位で後がないサウジアラビアと対戦したU-20日本代表。相手はグループ内で最も力があると目されており、引き分け以上で首位通過が決まるとはいえ、油断はできない。過去2戦とは異なる緊張感のなかで迎えた一戦で、MF松木玖生(FC東京)が異次元の勝負強さを発揮した。

 4-2-3-1のトップ下で先発した松木は、序盤から強烈なリーダーシップを見せつける。「玖生はもう見た感じで、身体から発する湯気で分かる」と冨樫剛一監督が大会前に主将を任せた理由を話していた通り、過去2戦以上に仲間をグイグイと引っ張っていく。

 中国戦とキルギス戦で露呈した試合の入り方を修正したチームにおいて、吠える場面は一度や二度ではなく、サウジ戦に懸ける意気込みがヒシヒシと伝わってきた。

 そうした姿勢が色濃く体現されたのが、15分のプレーだった。MF山根陸(横浜)が前方にフィードを送ると、FW北野颯太(C大阪)が左サイドから中央に走り込んできたMF安部大晴(長崎)にパスを送る。
 
 そこから安部が、猛然とゴール前に走り込んできた松木にラストパス。「1点目は余裕があった。左で打とうと思ったけど、足を出してきたのが見えたんです。右に切り返してすぐに打つことができた」と振り返った通り、冷静に判断して、最後は相手DFの股下を抜いてゴールに流し込んだ。

 試合を優位に進めるうえで何よりも欲しかった先制点。日本は今大会初めて前半のうちに得点を奪い、一気に流れを自分たちに引き寄せた。

 以降も松木は強烈な存在感をピッチ内で示し、相手に付け入る隙を与えない。攻撃では身体の強さを活かしたボールキープで起点となり、献身的なフリーランでも違いを作る。守備でも球際で強さを発揮して相手から何度もボールを奪った。

 攻守で躍動し、後半になっても、その勢いは衰えない。75分に同点に追いつかれて嫌な雰囲気が漂ったが、その空気を一掃したのも松木だった。78分に左CKを獲得すると、山根がニアサイドに質の高いボールを供給する。松木はバックステップを踏みながらのヘディングとなったが、しっかりと首を振ってゴールを射抜いた。「非常に陸のボールが良かった」と飄々とゴールを振り返ったが、決して簡単ではないシュートだった。

【動画】さすがの勝負強さ! 右足ショットとヘッド弾、松木玖生がサウジ戦で圧巻の2ゴール!

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