難しい舵取りを迫られるサウジ戦で、山根陸にかかる期待。フレッシュな状態でピッチに。まとめ役としても頼れる存在に【U-20代表】

2023年03月08日 松尾祐希

「ぱっと集まって合わせられるのが一流の選手」

サウジとの大一番に向け、山根は「間違いなく難しい戦いになる」と気合を入れる。写真:松尾祐希

 今年5月下旬から開催されるU-20ワールドカップの出場権を懸け、U-20アジアカップに挑んでいるU-20日本代表。苦しみながらもグループステージで2連勝を飾り、3月9日のサウジアラビアとの最終戦に臨む。

 現状ではグループ1位。得失点差でも優位に立っており、サウジ戦で勝点1以上を獲得すれば、ノックアウトステージ進出が決まる。だが、一番重要なのは順位。1位で上がるか、2位で上がるかで状況が大きく変わる。W杯の出場権を懸けて戦う準々決勝で韓国と対戦する可能性があるからだ。

 韓国は1位突破が濃厚で、日本が2位で上がった場合は宿敵と顔を合わせることに。サウジ戦は選手の疲労を考慮してターンオーバーしつつ、1位突破を目ざすという難しい舵取りを迫られる。

 そうした状況下で期待したいのが、副キャプテンを任されているMF山根陸(横浜)だ。

 キャプテンを務めるMF松木玖生(FC東京)と、もうひとりの副キャプテンであるDF田中隼人(柏)は2試合連続でフル出場中で、サウジ戦でどのような起用法になるかは不透明。逆に山根は中国との初戦で90+6分までプレーした一方で、キルギスとの2戦目はベンチから戦況を見守った。そのため、フレッシュな状態でサウジ戦に挑めるのは間違いなく、チームのまとめ役としても期待は大きい。

 元々、昨年9月の予選ではキャプテンとしてチームを牽引しており、リーダーシップを発揮する役割には慣れている。そのため、今大会も自分のプレーに注力しながら、ピッチ内外で様々なところに目を配ってきた。

 そんな山根の目からチームはどういう風に映っているのか。1、2戦目は苦戦を強いられたなかで、課題は試合の入りだと話す。

「入りのところを意識していないわけではないけど、難しくなってしまっている。経験を積み重ねていくしかない」(山根)
 
 ここまでは、立ち上がりから相手の堅守速攻に苦戦し、自分たちのミスも影響して思うように試合を運べなかった。もちろん、活動機会が限られていた関係で連係面の不安は少なからずあり、そうした問題が試合の入りに影響していることも否定できない。

 だが、それも言い訳にはできない。昨年11月以降、チームとしての活動がなかった。そのために、今大会はぶっつけ本番に近い形で臨んでいるが、「代表で志向するサッカーに対しての共通認識は持っているので、ぶっつけという感じではない」と山根は考えており、こう続ける。

「確かに今大会前に、みんなが集まったのは10日前ぐらい。その難しさはあるけど、個人個人が日常からクラブでトレーニングを積めているし、ぱっと集まってお互いが合わせられるのが一流の選手」

一方で、2試合を通じて、修正すべきポイントも見えており、サウジ戦では序盤からギアを上げて戦うことを目論む。そうすれば、自ずと勝利は見えてくるはずで、1位突破も難しいミッションではなくなる。

「サウジは個人個人でレベルが高いし、A代表でもそうなので、間違いなく難しい戦いになる。1位で上がるか、引き分けや負けで順位がどうなるか分からない状態で決勝トーナメントに上がるのでは全然違う。自分たちがしっかり準備をして、気を引き締めてやっていきたい」

 マリノス育ちのプレーメーカーは、日本の勝利のために全力を尽くす構えだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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