【消えた逸材】10代でインテルに引き抜かれた「アンリ2世」。09年U-17欧州選手権の得点王は29歳で無所属になるも…

2023年03月10日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

16歳で名門フェイエノールトとプロ契約

11年夏に入団したインテルでは公式戦8試合の出場に留まり、記録できたゴールも1つだけだった。 (C)Getty Images

ルク・カスタイニョス(FW/オランダ国籍)
■生年月日/1992年9月27日
■身長・体重/188センチ・83キロ
 
「アンリ2世」だと騒がれるようになったのは、まだ16歳の頃だった。オランダU-17代表のエースストライカーとして2009年の欧州選手権に出場すると、3ゴールを挙げて大会得点王に輝いたのだ。彼自身が先制ゴールを奪った決勝では、マリオ・ゲッツェを擁するドイツに1-2で敗れ、得点王に授与されるトロフィーを、ルク・カスタイニョスは悔し涙を流しながら受け取った。
 
 190センチに届こうかという長身で、つい最近までフランス代表の歴代最多得点記録を保持していたティエリ・アンリを、たしかに彷彿とさせる若者だった。背格好や風貌がただ似ていただけではない。ストライドの大きいスプリントにスピードがあり、走りながら右足で放つシュートのフォームも「アンリ2世」と呼ばれるようになった理由のひとつだろう。
 
 1992年9月27日、カスタイニョスはフランス人の父親と、イタリア国籍を持つカーボベルデ出身の母親の間に、両親が移住して2年目のオランダで生まれている。13歳の頃にフットボーラーとしての才能を見出され、1年後には名門フェイエノールトに迎えられると、16歳の秋には最初のプロ契約を結んでいる。

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 フランスとの二重国籍だがオランダU-17代表を選択し、09年5月の欧州選手権で台頭すると、メガクラブがこぞって注目する存在となる。当時は、レアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッド、バイエルン・ミュンヘン、リバプールなどが興味を示していたと言われている。
 
 フェイエノールトでトップチームに昇格すると、18歳のカスタイニョスは10-11シーズンのエールディビジで15ゴールをマークする。「アンリ2世」の争奪戦を制したのはインテル・ミラノ。しかし、イタリアの名門クラブへの移籍決定と鳴り物入りの入団が、キャリアのピークとなってしまう。
 
 インテルでは公式戦8試合の出場に留まり、記録できたゴールも1つだけだった。在籍1シーズン限りでオランダに戻ったのは「出場機会を求めてだった」と本人は振り返るが、失格の烙印を押されての放出でもあった。
 

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