悪夢のデビュー戦から1年、前田直輝がついに辿り着いた初ゴール。その裏に“闘う同胞フィジオ”の存在「あの人がいなかったら…」【現地発】

2023年02月08日 中田徹

先月には5-5の打ち合いを演じ、国内中のサッカーファンから喝采

大怪我から復活し、待望の新天地初ゴールを奪った前田。(C)Getty Images

 ユトレヒトのFW前田直輝がKNVBカップのAZ戦で大仕事をした。

 1―1で迎えた90分にピッチに入った背番号30は、延長3分にショーン・クライバーのスルーパスをゴール手前やや右寄りで受け、ワンタッチシュートで値千金の決勝ゴールを決めたのだ。試合はそのまま2―1で終了し、ユトレヒトがベスト8進出を決めた。

「『あとは決めるだけ』というボールが来たので、アシストしてくれた選手に感謝したいです」

 ゴールを決めると前田は、コーナーフラッグに向けて疾走して喜びを爆発。そんな彼のところにチームメートが駆け寄り、抱き合って祝福しあった。

「怪我をして1年くらい経ちました。その景色を見るために頑張ってきたところもあります。やっと、スタートラインに立てたというイメージです」
【動画】オランダ初ゴールは絶妙な呼び込みから、冷静なワンタッチフィニッシュ!前田直輝が待ちわびた瞬間をチェック!
 前田は昨年1月のアヤックス戦でオランダデビューしたものの、11分に負傷退場してしまう不運に見舞われた。足首を手術し、シーズンの残りを棒に振ることになった日本人レフティは「保有権を持つ名古屋に帰るだろう」と思われていた。

 しかし、練習試合などでユトレヒト残留を猛烈にアピールし、今季の期限付き移籍を勝ち取った。それだけに移籍初ゴールは嬉しかったはずだ。

「はい。しかし、試合中はもう切り替えないといけない、まだ終わってない――という気持ちのほうが強かったです。でも、やっぱり終わった瞬間はね、少し思うところがあったというか……。いろんな人が支えてくれた結果なので、すべての人に感謝したいという気持ちのほうが大きいです」

 今年に入りミカエル・シルバーバウアーが監督になり、ユトレヒトはスペクタルなサッカーでファンを魅了している。先月28日に行なわれたオランダリーグでのAZ戦では、5-5という打ち合いを演じ、国内中のサッカーファンから喝采を浴びた。

「今は本当に正面から殴り合っているイメージがあります。それが僕も楽しいです。サポーターも含め、今のチームの雰囲気はいい方向に向かっています」

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