愚直に自分と向き合い続けた日々。着実に成長を遂げ、プロ3年目でA代表に辿り着く【パリの灯は見えたか|vol.1細谷真大】

2023年02月07日 松尾祐希

高校3年次にトップとU-18で二足の草鞋

柏のアカデミー育ちの細谷。プロ4年目の今季も不可欠な得点源として期待がかかる。写真:鈴木颯太朗

 高校2年次までスポットライトを浴びるような存在ではなかった。世代別代表には縁がなく、エリート街道を走ってきたわけでもない。しかし、プロ入り後の3年で置かれている立場は大きく変わった。今やパリ五輪を目ざすU-22日本代表において、最も結果を残しているストライカーと言っても過言ではないだろう。若きFWは、いかにして成長を遂げてきたのか。

 パリ五輪世代で期待のタレントをディープに掘り下げるインタビュー連載。第1回目は、柏レイソルの細谷真大だ。

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 小学生時代は柏のアライアンスアカデミーとなる柏レイソルA.A.TOR'82に所属。その後は柏U-15、柏U-18でプレー。高校1年次はU-18高円宮杯プレミアリーグEASTで1試合も出場できず、出番を得たのは高校2年次になってから。世代別代表にも縁がなかったが、高校3年生を迎える直前に大きな転機が訪れる。2019年の3月に2種登録されて、同月下旬にJデビューを果たしたのだ。そこからトップチームとU-18チームでプレーと二足の草鞋を履いたが、この経験が細谷の成長スピードを加速させた。

「高校3年生の時は2種登録をされてトップチームとユースを行き来する生活だったけど、良い経験ができて自分の中でも成長したと感じた」
 
 トップチームでの経験は細谷の意識を変えた。「U-18チームに戻った時は結果を出すことを意識しながらやっていたし、周りとは違うプレーを見せないといけない。そういう意識を持っていたからこそ成長できた」と振り返り、「トップチームの練習は強度が2種年代とは違う。そこで学んだことをU-18チームでも発揮できたのは大きかった」という。

 だからこそ、U-18チームでも結果を残せたのだろう。19年7月にU-18日本代表候補に選出されて初めて日の丸を背負い、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでは13試合で8得点を記録。結果を残し続けたことで、自信が生まれてさらにプレーが良化していく。裏への抜け出しや前線からのプレスも質が高まり、安定したパフォーマンスでチームを引っ張る存在となった。

 また、プロサッカー選手の技術を間近で見られた経験もプラスだった。

「(江坂)任君は本当に上手かったし、オルンガは凄かった。得点のパターンが広くて、どこからでも決めていたんですよ。盗めるモノはしっかり盗もうと思っていたし、本当に裏への抜け出しとかは参考にさせてもらっていたので、良かったなって思います」

【布陣図】2023年シーズン J1全18クラブのポジション別最新序列
 

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