【リーガ現地コラム】全盛期を迎えた“世界で最も地味で、最も優れたCB”ディエゴ・ゴディン

2015年11月20日 豊福晋

ほぼすべての面でゴディンはピケを上回っている。

今シーズンのアトレティコではここまで、公式戦全試合にフル出場しているゴディン。堅守が自慢のシメオネのサッカーには必要不可欠な存在だ。 (C) Getty Images

 たしかな実力を備えながらも、華やかさやスター性の乏しさが原因で、正当な評価を受けられない選手がいる。
 
 どんな時代にも、どんな国にも、そんな過小評価を受ける選手はいたものだ。
 
 それは2015年になっても変わらない。11節までに6失点とリーガ・エスパニョーラ最少失点を誇るアトレティコ・マドリーの守備の要、ディエゴ・ゴディンもそのひとりだ。
 
 昨夏、アトレティコのディエゴ・シメオネ監督は断言した。
 
「ゴディンとコケだけは手放せない」
 
 指揮官が全幅の信頼を寄せるように、アトレティコの守備はゴディンがいなければ成立しえない。今シーズンのパフォーマンスは目を見張るほどで、29歳にしてキャリアの全盛期を迎えている。
 
 しかし、いつになっても彼が正当な評価を受けることはない。ちょうど1歳年下のジェラール・ピケと比較してみれば、わかりやすい。
 
 ふたりの間には、世界的な評価や知名度において雲泥の差がある。ピケはワールドワイドに知られており、評価も高い。バルセロナとスペイン代表という、主要コンペティションでタイトルを争うチームでプレーしているのが、その理由だろう。パートナーが世界的歌姫のシャキーラということもあり、サッカーファン以外の層にも広く知れ渡っている。
 
 一方のゴディンは、現場レベルでは「CBの手本にすべき」と非常に高い評価を得ている。だが、ファンやメディアの評価、そして知名度で大きくピケに劣る。CBとしての能力、ここ数年のパフォーマンスで凌駕しているというのに、である。
 
 1対1の強さ、闘争心、リーダーシップ、コーチング、ピッチ内外での振る舞いなど、ほとんどすべての面においてゴディンはピケを上回っている。同レベルなのは空中戦とフィードの精度くらいだろうか。
 

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