【日本代表/エリア別検証】キャプテンとゲームメーカーの不在は如実に表われていた

2015年11月18日 増山直樹(サッカーダイジェスト)

【ディフェンシブサード】あっけなく中央で裏を取られる脆弱さは、最終予選では致命傷になる

背後を突かれてピンチを招いた吉田。カンボジア相手に後手を踏むようでは、先が思いやられる。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 シンガポール戦同様に押し込む展開が予想されるなか、いかに攻撃に絡めるかが評価軸となるはずだった。だがそれ以前に、守備で不安定さを露呈。相手の持ち札はカウンターとセットプレーだけだと分かっていながら軽率なミスでピンチを招いたのでは、とても合格点は与えられない。

【PHOTOギャラリー】W杯アジア2次予選 第6戦|カンボジア 0-2 日本

 最大の誤算はCBのパフォーマンスだ。9分、前に出てボールをカットしようとした吉田が一発でかわされる。22分には槙野の不用意なパスが奪われ、エリア内からシュートを放たれた。カンボジアのシュート精度の低さに助けられたが、どちらも失点しておかしくないシーンだった。あっけなく中央で裏を取られる脆弱さは、アジア最終予選では致命傷になる。
 
 フィジカル不足も深刻だ。シリア戦やイラン戦ならいざ知らず、カンボジアの9番相手に競り勝てないようでは、不安が募るばかり。スピードで振り切られる場面も散見し、カバーリングも徹底されていなかった。
 
 慣れない人工芝のピッチやボール、暑さからくるコンディション不良など、言い訳を探せばいくつも見つかる。「予選において簡単な試合はない」(吉田)のも事実だ。それでも、カンボジア戦で見せた守備は、世界を目指すアジアの強豪として恥ずべきものだった。
 
 そんなCBに比べれば、SBのふたりはまずまずの出来だと言えよう。「昨日の夜に(先発だと)聞きました」と語る長友は、代表では珍しい右SBでも大人なプレーを見せた。藤春はもう少し積極性が欲しかったところだが、「前半も決められる場面があったが、なんとか最後にアシストできた」と本人が振り返るように、ふたつの決定機に絡んでいる。11月シーリーズの2試合で、クロスからダイレクトにゴールが生まれたのはこの日の2点目のみ。指揮官が求めるサイドアタックは体現できていた。
 
 ただし、両サイドともに攻撃のほとんどの局面で相手に数的優位を握られ、効果的な細かい崩しが見られなかったのは反省材料だ。"即席感"の強い顔触れだったとはいえ、ウイングやボランチとの連係には詰めるべき点が多く残っている。
 

次ページ【ミドルサード】役割分担が曖昧で、ただ頭上を越すボールを眺めていた。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事