「アノエタに新たな神が誕生した」“復讐劇”を完結させた久保建英にソシエダ番記者が最大級の賛辞! 物議を醸したセレブレーションは「長く記憶されるだろう」【現地発】

2023年01月17日 ミケル・レカルデ

「熱くなるのはむしろ大歓迎だ」

ダービーで歴史に残るゴラッソを叩き込んだ久保。(C)Getty Images

 スペインでは、「復讐は冷めてからするもの」という表現がある。昨夏、タケ・クボ(久保建英)がバスクダービーデビューを果たした時のことだ。プレシーズンマッチだったとはいえ、レアル・ソシエダとアスレティック・ビルバオの間には、どのような状況でもライバル意識が生じる。前半、タケが陣取っていた右サイドは、ちょうどビルバオのベンチから数メートル前方のところにあった。

 いつも怒っているようにプレーする元ソシエダのユーリ・ベルチチェとのマッチアップは白熱し、ビルバオの控え選手の格好の野次の標的になった。この出来事についてタケは後日、「ピッチでのことはピッチにとどめておくべき」という南米サッカーの不文律を適用し、「ユーリに押された時に、何か言われたのかもしれない。みんなそうやって熱くなるのは僕はむしろ大歓迎だ。確かにプレシーズンでは、レフェリーの許容範囲が広がり、蹴りを食らう機会も増える。公式戦なら違ったかもしれない」と発言している。

 さらに一種の脅し、あるいはラフプレーに発展しないための警告として、「観客の後押しを受ける中で(ホームスタジアムの)アノエタでのダービーでプレーするのが今から楽しみだ。僕にとって特別な試合になる」と予言していた。

【動画】股抜きからニアをぶち抜くゴラッソ!ユニホームを脱いで喜びを爆発させる久保

 一方、ビルバオでは地元メディアが試合前に、「もし我々が勝たなければ、これまでやってきたことが無駄になる」と大げさで、ともするととんちんかんな見出しを掲載し、対立関係を煽っていた。ただそれは真のダービーは、ソシエダではなく、レアル・マドリーとの一戦――と常に隣人を見下してきたビルバオの人々の心境に変化が生まれていた証でもあった。

 ダービー戦でのタケは、まるでインクレディブル・ハルクのようだった。何事もなく平和に共存する両チームのファンの眼前で、2台の貨物列車がぶつかり合う肉弾戦が展開された舞台装置がまたタケの闘争心に火をつけていた。

 敵将のエルネスト・バルベルデがソシエダ対策として主眼を置いたのは、マルティン・ズビメンディ、ミケル・メリーノ、ブライス・メンデスによる中盤のパスワークを寸断することだった。

 しかし今シーズンのソシエダの攻撃陣は豊富なバリエーションを誇る。バルベルデにとって計算外だったのは、いくら中盤を封じても、その分、ダビド・シルバ、アレクサンダー・セルロト、そしてタケのような危険なアタッカーへの警戒を緩めてしまっては同じく無防備な状態になることだった。
 

次ページSNSにはファンによる「疑ってすまなかった」という懺悔コメントが

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事