【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|素人同然のプレーもあったが… 日本らしさの構築はこれからだ!

2015年11月13日 サッカーダイジェスト編集部

埼玉での0-0の結果はメンタルの弱いタイ人の選手に説得力のある出来事になった。

ハリルホジッチ監督が就任してからの日本代表を初観戦。新戦力と大黒柱の選手たちの融合を楽しみに観ていたが……。写真:徳原隆元

 指導しているジュニアユース(U15)の練習を少し早めに終えて、3分遅れで久しぶりに日本代表の試合を見た。
 
 ハリルホジッチ監督になって初めてとなる代表戦の観戦である。テレビ観戦とはいえ、ワールドカップのアジア2次予選という真剣勝負であり、相手のシンガポールは僕が9月まで監督として指揮を執っていたタイの近隣国。タイでも興味を引く対戦カードとなっていた。
 
 シンガポールに引き分けた埼玉スタジアムでの試合当時、僕はチェンマイFCを指導している最中だった。観戦することはできなかったが、タイ人にしてみれば日本がシンガポールをホームに迎えるということであれば、やる前から結果はひとつ――。サッカーはなにが起こるか分からないが、日本の勝利に決まっているとチェンマイFCの選手たちもそう思っていた。
 
 シンガポールが日本相手に実現した0-0という結果は、アウェーに弱いメンタリティを持つ彼ら(タイ人)にとって、何度もミーティングなどで話すことより説得力のある出来事であった。
 
 そして今回は日本がアウェーに乗り込んでのシンガポール戦。格下相手でもやはりそこは敵地であり、前回の対戦はスコアレスドローだったこと、そして僕の印象から言えばシンガポールのチームは思っている以上にしたたかで、なにがなんでも、恥を捨ててでも、というプレーが出来ることを踏まえると、再び苦戦する可能性もゼロではないと思われた。
 
 僕も清水エスパルス時代にマレーシア、シンガポールへ遠征をしたことがあるが、シンガポールでは乱闘になった。U-16日本代表時代にはシンガポールで行なわれたライオンズシティーカップで、マッチアップしたシンガポール代表の選手とどつき合いになった……、といったことを思い出した。そんな経験もあるだけに、なにが起こるか分からないという氣持ちは少し持っていた。
 
 しかし当時のレベルとなると嫌な感じはするが、「今」であれば少なくとも3点差以上の勝利が必要だと思いながらテレビで観戦していた。
 
 結果、3-0の勝利であったことを考えれば、僕の思う「最低限」のラインを保った試合であった。

次ページシンガポール戦の90分をとおして抱いた違和感。

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